「フルサイズでミラーレス」という新境地 ミラーレス一眼のα7Ⅱを使い倒してみた

✎ 1〜 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 最新
拡大
縮小

ミラーレス一眼は持ち運びやすさが良いが、普通の一眼レフカメラに比べて使い勝手が悪いと感じてしまうのは、グリップの悪さだ。

前述のように片手で握る際、一眼レフカメラのようにシャッター部分がせり出していると、右手の中指・薬指・小指を引っかけるようにして持ち歩き、撮影するときにはここをしっかり握って固定し、人差し指でシャッターが切れる。

ところがミラーレスの多くのカメラは、前回レビューしたE-M5 Mark IIも含め、このせり出しがなく片手でのグリップに不安を覚えるのだ。そのため、レンズを含めると倍以上の重さになる大きな一眼レフカメラの方が、取り回しが良い、と感じることもあるほどだ。

シャッターボタンのせり出しが大きくなり、グリップしやすいデザインになったSONY ミラーレス一眼 α7 II

ソニーα7 IIは、前機種よりも大きく重たくなっているが、このシャッターボタンのせり出しが大きくなり、グリップしやすくなった。片手でもきちんと不安なく持ち運ぶことができ、グリップの中央に移動してきたシャッターボタンを押す際もしっかり固定できる。

ソニーのαシリーズは全般的に、このグリップを残すデザインを採用しているが、α7 IIは特に握りやすく、前述の手ぶれ補正機構と相まって、片手で撮影するどんな場面でも、ぶれない写真を撮影することができるようになっていた。

おそらく、非常に多くの枚数を撮影していくとき、このグリップは、大きな満足度を生み出すことになるはずだ。

撮影時、仕上がりの心地よさと、レンズを含めた価格

フルサイズセンサーと5軸手ぶれ補正、そして取り回しの良いボディという優れたパッケージングを、大きくなったとはいえ500g台で実現しているソニーα7 II。グリップの良さも考慮に入れれば「最も持ち運びやすいフルサイズミラーレス一眼」という評価を、ソニー自身を含む他の機種に奪われることは当面ないだろう。こうした魅力と、フルサイズの豊かな色、シャープさを兼ね備え、レンズキットで約20万円という価格は競合と比較しても価値がある価格といえる。

ミラーレス一眼の楽しみはレンズ交換。α7が対応するEマウントのフルサイズ対応レンズ「FEレンズ」のラインアップは着々と増えていくが、単焦点レンズもSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAで実売価格約7万5000円からとなっている。

もしも古いレンズなどの資産がある場合は、レンズマウンターなどを活用しても楽しいが、筆者のように初めてのフルサイズという場合は、初期投資がかなり大きくなってしまう。

まずは標準ズームレンズのキットから使い始めても、十分に魅力を体験することができるはずだ。その上で、充実していくレンズを選んでいくと、良いのではないだろうか。

松村 太郎 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT