日経平均、調整終了で再び2万円台に回復? 8日に現れた「幻のSQ」サインとは何か

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幻のSQとは、何か。これは、当日の寄り付きで計算されたSQ値(今回は1万9270円79銭)を再び付けない(タッチしない)現象を言う。

日経平均でいえば、「日経平均の上の幻のSQ」と「日経平均の下の幻のSQ」の2通りがあるわけだが、8日の日経平均は、この日一度も1万9270円79銭をつけることなかったため、「日経平均の下の幻のSQ」となったというわけだ。

相場反転のサインか?

相場のテクニカル分析で、反転シグナルとして多くの投資家の支持を集める理論がある。江戸時代からある米相場罫線で言う「捨て子線」、最近のチャート用語で言えば「アイランド・リバーサル」(離れ小島反転現象)だ。

下げトレンドの最後に、クライマックス的に離れた(一段と下げた)株価が形成され、直後に元に戻るとその株価はあたかも離れ小島のように、取り残されたようになる。この形が出ると、極めて高い確率でそのトレンドは反転する(上昇相場が反転して下落に転じる場合は、一連の流れが逆になる)。

先週末は、すでに7日のNY株高の影響で買い先行で始まったので、前出のSQ値(1万9270円)は、前日の引け値(1万9291円)こそ下回ったが、前日安値(1万9257円)は上回っており、厳密には下に離れていないといえる。しかし、週明け11日からの日本株は、NY株のさらなる大幅高で、SQ値(1万9270円)から大きく上に離れた位置で始まるだろう。

こうして見ると、やはり巨大なエネルギーが「清算」されるSQ値が、今回は下の位置に取り残された形は明白で、捨て子線やアイランド・リバーサルの考え方を強力に具現したと言えるのではないか。

もっとも、「早くも調整完了」と断言するには、目先の天井をつけた4月23日から見て、日柄(日数)が足りない感じもある。だが、現在の需給が変わらないとしたら、ある意味当然の現象かもしれない。

現在の投資主体で需給のバランスを見ると、売り方の中心は、かなり疲弊した売り屋ファンドと、値ごろ感で売っている個人投資家だ。対して買い方は、国内の公的ファンドと、行き場を失った世界のカネ余りファンドの日本流入だ。

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