家を買うなら、親のスネをかじり倒せ! 成人でも2500万円まで贈与税ゼロの場合も

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お給料はなかなか上がらず、ローンの金利が低い今とはいえ、ローンの負担が重いことはまちがいありません。会社も社員の福利厚生はむしろ削っている状況ですから、昔のような手厚い住宅手当など、期待することもできないでしょう。

話は冒頭に戻りますが、親から「家を構えて一人前」などと言われたら、「時代が違う」と言い返して差し上げましょう。

中古を買うか、親に支援を求める手も

もし、家を買うなら中古マンションなど、できるだけ安く買える中古物件を探すことをお勧めします。すでに日本は、総世帯数を超える住宅の数があり、需給バランスは完全に崩れています。今後、中古物件の値段はさらに大きく下落するので、程度の良い物件が、格安で手に入る可能性があります。

それともうひとつの手段は、そこまで家を構えろとおっしゃるなら、遠慮なく親に支援を求めることです。今、日本の政府は高齢者にばかり資産が偏在しているアンバランスを解消するため、さまざまな税制優遇策を講じています。

たとえば「相続時精算課税制度」は、その代表的なものでしょう。これは祖父母、あるいは父母から、20歳以上の子供に対して行われる贈与が2500万円までであれば、贈与税が一切掛からないという制度です。

ただし、贈与者である祖父母、あるいは父母が亡くなった場合には、遺産にその贈与を受けた財産を加えて、相続税額を計算することになります。

このように、相続時にすべてを精算することから「相続時精算課税制度」と言われるのですが、遺産の額が相続税の基礎控除額以下の人ならば、利用すべき価値はあります。

税制メリットを最大限に生かし、親から住宅資金の援助を受けるようにすれば、自分自身の負担はかなり軽くなります。

親だっていずれは亡くなるわけですから、その時に相続税を掛けられるよりも、事前に贈与を受けて非課税扱いにした方が、少なくとも税制メリットは享受できます。

家を建てるためのおカネは、まずはいきなり借りるのではなく、少しでも親にもらえるか聞いてみましょう。

井戸 美枝 ファイナンシャルプランナー

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いど みえ / Mie Ido

神戸市生まれ。 関西と東京に事務所を持ち、年50回以上搭乗するフリークエントフライヤー。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。『世界一やさしい年金の本』(東洋経済新報社)、『知らないと損をする国からもらえるお金の本』(角川SSC新書)、『現役女子のおカネ計画』(時事通信社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP)『親の終活、夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)など著書多数(ホームページ​経済エッセイスト井戸美枝FBページ)。

 

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