英語上達には、この「脳番地」を鍛えなさい! 脳科学者に聞く、「英語脳」を育てる習慣

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自分の興味のあるジャンルでたくさんの英語に触れていくうちに語彙が増えると、「新しいジャンルも読んでみよう」という欲求が出てくるものです。少しずつジャンルを広げていくことで、「挫折」を防止し、着実に実力アップを図れるでしょう。

記憶系脳番地で、英単語を克服する

――英単語の話題が出ましたが、脳科学の力で単語力をアップさせることはできますか?

英単語は、もちろん記憶力に依存するので、記憶系脳番地を強くすることで多くの単語を覚えられるようになります。英単語を覚える際、特に「単純記憶」と「エピソード記憶」という2通りの記憶方法がキーとなります。「単純記憶」とは、掛け算の九九のような、いわゆる暗記のことを指します。

一方の「エピソード記憶」は、「chopping-board(切る+板=まな板)」というように、複数の記憶を関連付けて覚えることを指します。

よく「歳をとって記憶力が落ちた」という人がいますが、これは大人になって知識が増えたことで、「単純記憶」より「エピソード記憶」に頼る傾向が強くなるためです。

単純記憶は、鍛えることで再び強くすることができます。たとえば、「長い英単語」を、あえて覚えてみましょう。あえて暗記にチャレンジすることで記憶系脳番地が強く刺激され、記憶力自体を高めることができるのです。

また、初心者の方は「好きなジャンルの英単語に絞って覚える」ことも効果的です。先ほどお話したように、好きなジャンルで学ぶときに脳番地は強く活性化しています。また、日本語での背景知識があることで、英語であっても楽にリスニングやリーディングを行うことができます。

私自身、医大を卒業するまでずっと英語がダメでしたが、MRIに出会い、これを研究したいという強い興味により、英語の壁を打ち壊し、アメリカで研究をするまでになりました。

私自身も、まだまだ英語の学習者です。みなさんも、脳の仕組みを利用して、より効率的な英語学習の方法を探ってみてください。

(撮影:梅谷秀司)

加藤 俊徳 医学博士/「脳の学校」代表

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かとう としのり / Toshinori Katou

脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。脳科学・MRI 脳画像診断の専門家。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科で脳画像研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。加藤式MRI 脳画像診断法を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。得意な脳番地・不得意な脳番地を診断し、脳の使い方の処方を行う。『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)など著書多数。

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