空回る新人、心が折れる前に上司がすべきは 「即戦力化」しようとするのはナンセンスだ

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新しい環境に期待が膨らむ一方、そろそろ「できない」ことにストレスをため始めている可能性も……

今年の新入社員の特徴を、日本生産性本部は「消せるボールペン型」と表現しました。「消せるボールペン」と言えば、摩擦熱によって透明になるアレです。職場に当てはめて考えると、新人に熱血指導をしてしまうことで、色(個性)を消しかねない、という意味だそうです。

多くの会社で新しい期が始まり、フレッシュなメンバーが入社したことと思います。ゴールデンウィーク明けには、研修で訓練された新人がいよいよ現場配属!という会社もあるようです。

ここで、新人社員を受け入れる現場の上司として考えておくべきは、「どのようにして新人社員を戦力化していくか」ではないでしょうか。基本は厳しく、けれど、どこまでが許容範囲なのか……。その線引きに悩む人は少なくないと聞きます。

そこで今回は、新人に「ブラック企業!」と言われないためにどのように向き合えばいいのか、また、やる気はあるけれどどこか空回りしてしまう新人への対処法を、一緒に見ていきたいと思います。

新人の「モンスターペアレント」におびえている?

ここに新卒で入社した女性社員と、その上司がいます。彼女は同期の中でもズバ抜けて意欲が高いものの、どうにも結果が出せず、日々、涙が零れ落ちています。このままでは心がポキッと折れてしまい、「私、もう無理です……」と訴えてくるかもしれません。さぁ、上司であるあなたはどのように接するでしょう?

上司「そうですね。まずは優しく励ましてみます!」

なるほど……。どうして優しい上司を演出するのですか?

上司「だってイマドキ、厳しくしちゃったら、彼女たちの親からクレーム電話が掛かってきますから……」

親!? ……確かに最近耳にするのは、少しでも職場の処遇や指導に不満、ギモンを持つと、本人ではなくその保護者が会社に文句を言ってくる、というシチュエーションです。しかし「モンスターペアレント」に怯える上司が、気を遣って「優しさ」を装うのであれば、新入社員は必ず後になって行き詰まってしまうものです。

新入社員にとってこの時は、「組織社会化」が進む大事な時期です。新入社員が組織に馴染んで一人前に育っていくことで、組織の文化、規律、職務に必要なスキルや、期待される役割を認識していく、社会人人生において極めて大事な「初めの一歩」なのです。

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