仕事で成果出す人が実践「良い仮説」サッと作る技 短時間でできる「ヒューリスティック」とは?

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どんなに営業経験がなくても、少なからず一般的な前提知識はあるはずです。例えば、「企業は利益を求めており、収入を増やして、支出を減らすことで利益を伸ばす」という知識からも、ヒューリスティックで仮説を考えることができます。

1.この企業は売り上げは大きいのに利益が少ない。コストをかけすぎているのが問題ではないだろうか。
2.何にコストがかかっているんだろう? 内訳を見たときに同業他社と比べて、比率が大きいコストはないだろうか?
3.人件費が大きいけど、人が余っているんだろうか? 生産性が悪くて多くの人手が必要になっているんだろうか?

というように考えて調べていくことができます。ヒューリスティックで仮説を何も立てずに調べ始めてしまうと、1つの企業に関する情報は膨大にあるため情報の重要度も判断できず、調べきれません。ヒューリスティックを使うことで調べる時間を短くすることができます。

また、自分ができる範囲でヒューリスティックを使って仮説を立てると、何がわからないのかが明確になります。自分で考えて調べたことは、漫然と調べたことと違って記憶に定着するので、自分の引き出しに蓄えていくことができます。

ヒューリスティックでの仮説は経験をもとにしているので、経験を積むほど蓄積され、仮説構築のスピード、精度が上がります。しかし漫然と仮説を立てていてもなかなか活用できるようにはなりません。

「帰納法」を使って引き出しを増やす

ヒューリスティックでの仮説構築力を上げるには、経験を抽象化して整理したうえで自分の引き出しに入れておくことが大切です。これには、前述の「帰納法」を使います。

・SaaS企業A社はChurn Rateの改善を気にしていた
・SaaS企業B社はChurn Rateの改善を気にしていた
・SaaS企業C社はChurn Rateの改善を気にしていた

この3つの経験から帰納法的に共通点を抜き出すと「SaaS企業はChurn Rateの改善を気にする」という大前提が導き出せます。頭の中の引き出しに「SaaS企業」というラベルを貼って保存しておけば、SaaS企業との商談の際には「Churn Rate」という論点をすぐに取り出すことができます。

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