日本化薬が「電力25%削減」にめど、自家発電機導入、夜間・休日操業が柱に

日本化薬が「電力25%削減」にめど、自家発電機導入、夜間・休日操業が柱に

中堅製薬・機能化学品メーカーの日本化薬は、東京電力が今年夏に予定している「電力供給制限」への対応策を固めた。自家発電機の稼働や夜間、休日操業への切り替えなどが柱で、「25%の電力供給制限に対応できる内容にした」(漢人哲夫・生産技術部長)。

医薬品製造の高崎工場(群馬県高崎市)で、3月末までに自家発電機(大型2台、中型1台)をリースで調達したほか、研究所(東京都北区)でも広島県の取引先から自家発電機を借りるための準備を進めている。また、夏場に関東地区の工場や研究所での夜勤シフトや休日出勤、本社ビル(東京都千代田区)での冷房機器の一部停止、蛍光灯のさらなる削減などを組み合わせることでやりくりをつける。これらにより、「(国が求めている)25%削減のメドが立ってきた」と漢人部長は説明する。

ただし、工場の操業に余裕があるわけではない。高崎工場では今年2月に医薬品事業で次期戦略製品として位置づける「高分子ミセル化抗がん剤」の治験薬製造設備が竣工したばかり。同設備で使用する電力は昨年の使用実績に含まれていない。そのため、夏場に治験薬製造設備を稼働させるかどうかについて、5月の社内会議で方針を決定する。

また、研究所では自家発電機を導入する際に、周波数の変換をする必要がある。そのための作業を近く検討している。

自家発電機導入に加えて、工場、研究所では休日出勤も計画している。すでに高崎工場では、リードタイムが長い培養設備の稼働を5月の連休中も行う方針。夏場には、ほかの工程や研究所でも休日出勤を実施する可能性が高いという。本社や研究所では、冷房機器の一部停止も行う考えだ。

漢人部長によれば、「電力供給制限が20%以上になった場合は、休日出勤が必要。15%であれば、設備に手を入れなくて済む」という。

日本化薬は、東京電力が実施した計画停電で大きな損失を被った。高崎工場は3月16日から延べ5回にわたって計画停電に遭遇。初日の計画停電が原因で、培養中の原薬の一部が不良になり、廃棄処分を迫られた。
 
 そうした苦い経験がある一方、地震発生から3~4日後に、高崎工場長の判断で自家発電機の手配に踏み切った。「同工場長は制御工学が専門。社内のどこに余剰の発電機があるとか、どこの業者に頼めば自家発電機が手に入るといった知識が豊富」(漢人部長)という技術者としての強みが発揮された。

現在、製薬企業には、経済産業省および厚生労働省から「使用量削減計画」に関する「アンケート」用紙が送付されており、今月下旬までに回答が求められている。日本化薬の取り組みはほかの製薬企業にとっても参考になりそうだ。


医薬研究所の創薬B棟(東京都北区)


統合研究棟(機能化学品および医薬研究所=東京都北区)


医薬品を製造する高崎工場(群馬県高崎市)

(岡田 広行 =東洋経済オンライン)

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