連休明けの「マーケットの波乱」に注意せよ 世界でジワジワと忍び寄る「不安」とは?

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では肝心の米国はどうか。1~3月期の前期比年率ベースの実質経済成長率がわずか0.2%増にとどまった。だが、個人消費は同1.9%増と底固い。シェールガス・オイル業者の投資抑制や、厳冬・大雪の影響が大きく、米景気の基調が下方屈折したと見込む必要はないだろう。

ジワジワと忍び寄る「米国のトリプル安」

ではなぜ株価の先行きを警戒しているかといえば、「米国しか安心できる経済はない、株式で買えるのは米国株、国債で買えるのは米国債、通貨で買えるのは米ドル」といったシナリオが行き過ぎてしまい、米国では株も債券も通貨も買われ過ぎになってしまったためだ。

米国株はPER(株価収益率)が高水準にあり、米国債利回りは経済指標との動きから大きく外れて低位で推移しており、米ドルもたとえば対円で、購買力平価から大きく米ドル高・円安に離れすぎている。

こうした米国買われ過ぎ状態からの「ちゃぶ台返し」が、いったん生じ、それに日本を含めた他国の市場が巻き込まれる展開を心配しているわけだ。この米国株、債券、通貨の「3者そろい踏みの水準訂正」が、これから来る世界的な市場波乱の「本尊」だと考えている。

実際、米国市場には「疲れ」が忍び寄っている。ニューヨークダウは、3月上旬の高値を抜けないまま、その後も3~4月に3度、1万8100~200ドル辺りで跳ね返され、反落している。ナスダック総合指数は、4月24日(金)に終値ベースの史上最高値を更新したところで力尽き、反落を見せた。

米ドルも、対円では、3月10日(火)にザラバで122円をわずか超えた後、しだいに121円台をも取り返せなくなり、最近では120円台での滞空時間が短くなっている。対ユーロでは、欧州は景気も悪いしギリシャ問題もある、と高をくくり、1ユーロ=1米ドルを目論んでユーロを売った投資家が、4月下旬になって米ドル安ユーロ高で損を被り、大慌てのようだ。

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