「OJTこそ人を育てる」は、日本企業の盲点だ 成功し、選ばれる人材になるための3つの方法

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今、企業の人事部は、必死になって社内からタレント人材、将来のリーダーとなるべき人材を発掘しようとしています。例えば売上高4兆円超、従業員数10万人超のある電気機器メーカーでは、重要ポストを担う候補人材を早く見出し、育成する「ファスト(速い)トラック」を構築中です。リストアップされた数十人のメンバー年齢は、最年少は20代後半、最年長が40歳でした。

「優秀であるがゆえにかえって異動しづらく、同じ部門で永らく『塩漬け』状態になっている人材はいないか?」「職場のしがらみで身動きが取れなくなっている人材はいないか?」を必死になって探しています。

ファストトラックでリーダーを探すだけではなく、ある領域の専門家、スペシャリスト人材を発掘したり、キャリア形成の面で先が見えない、という社員に対して、会社は上司とメンバー間で通常行われる目標、評価の面談だけではなく、「キャリア面談」制度を導入したり、キャリアカウンセリング室を新設したりする動きが活発です。

キャリアは人材がつくってきた総面積

キャリアという言葉は、ポストや職種のように誤解されがちですが、そもそも、経験、実績、能力、社内外の人脈、将来への希望、仕事や人間関係面での価値観など、その人材が作ってきたもの全体の総面積です。こうした本質的な意味でのキャリアを作っていくとなれば、自分が経てきた道を定期的に棚卸しして見える化したり、上司や同僚、先輩と対話することが必要になります。

欧米系のグローバル大企業はほぼ100%、「タレントマネジメントシステム」という人材発掘の仕組みを持っています。その人の「職歴」「教育履歴」「資格」「志向」「保有スキル」などをITシステムで一元管理されていて、社員本人にとっては希望する職種やポストに対して、自分はどんなスキルが不足しているかが見える状態になっています。

会社側は、今後必要となるポストの担当者や後継者になりうる「スキル」「志向」「経験」を持った人材を素早く、しかも地域や部門を超えて探しだすことができるようになっているのです。もはや、「AさんはB部長に気に入られている」といったつかみどころのない話ではなくなるのです。このような流れ、つまり人材を会社の「資産」として「見える化」する動きは間違いなくこれからの人事の主流になっていきます。

そんな中で、私達ひとり一人も意識すべきポイントが3つあります。

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