フジの昼番組「ぽかぽか」"意外"と面白いその中身 すべての回を視聴したからこそわかる魅力

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澤部の質問にちゃんと答えず好きにしゃべるマツコ・デラックスに対し、前日のゲストの北川景子のほうが良かったと愚痴り出す澤部。するとマツコは「この番組はそういうほうがいいんだな!」とさらに暴走し始める。するとすかさず岩井が「進行を無視する私を見せにきてるっぽい」と書いたフリップを出す。その見事さに思わず感心するマツコ。

この場面などは、「テレフォンショッキング」とは異なる大喜利テイストとフリートークとのハイブリッドな部分が最も活きた瞬間だった。

シンプルだが奥が深い「牛肉ぴったんこチャレンジ」

この「ぽいぽいトーク」のなかの恒例企画が、「目指せ300g 牛肉ぴったんこチャレンジ」だ。ゲストが約2kgの高級牛肉のかたまりを300g目指して切るというゲーム。ぴったり300g分切れれば、かたまりをまるごとお持ち帰り。また誤差±10g以内なら、切った分だけ持ち帰ることができる。

シンプルなゲームだが、これが意外に難しく奥が深い。かたまりの形状は毎回違う。さらに脂分が多いか少ないかによっても微妙に重さが違う。視聴者も毎日見ているとなんとなく「300g」が感覚的にわかってきて、答え合わせをしているような気持ちになる。筆者もそうだが、この企画を楽しみに見ているという視聴者も少なくないはずだ。

切りかたひとつにも、ゲストの個性が出る。2回まで切って微調整できるルールなので、それをどう活用するか作戦を練ってくるゲストもいる。「東大生タレント」の代表格・伊沢拓司などは完璧な作戦を思いついたと豪語していたが、あえなく失敗だった。

番組史上最初の成功者はGACKT。しかも1回だけ切って309gの成功。さすが「持ってる」と思わせてくれた。そして300gぴったりを成し遂げたのは山本舞香。ただ彼女の場合、最初に切ったのが実は300gぴったりだったにもかかわらず、もう一度切ってそこに少し足してしまっていた。その意味では、本来のルールで300gぴったりという快挙はまだ達成されていない(2023年7月14日現在)。

それ以外のコーナーも多彩だが、ここでは企画自体の秀逸さも込みで「甦れ!マイメモリー記憶の数だけ歌謡ショー」にふれたい。

このコーナーは、ゲストのベテラン芸能人が、自分が過去に出した本やレコードのタイトル、マネージャーからの誕生日プレゼントなどを覚えているかをクイズ形式で答えるもの。1問正解につき一定の時間が加算され、10問中7問以上答えられれば、松崎しげるが生で歌う「愛のメモリー」がサビまで聞ける。

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