幸せな晩婚に影を落とす「前妻とカネ」問題 高額の養育費や住宅資金の援助に悶々

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「30歳を過ぎてからは、合コンでもない限りは年上の男性と出会ったら既婚であることを前提に接しています。そうしないと痛い目に遭いますからね……。

主人は当時、離婚して3年目でした。キリッと整った顔をしていますが、私のタイプではありません。カジュアルの洋服も微妙にダサい。どうかな~、と思いましたが、嫌ではないので何度かデートをして、お付き合いをすることにしました」

私生活でも「強さ」を求められたくない

弘子さんは40歳になるまで男性との出会いに恵まれなかったわけではない。学生時代に付き合っていた恋人は、1人暮らしの弘子さん宅に入り浸るようになった。彼の母親に会ったときに「タカシが家に帰ってこない理由がわかったわ。弘子さんは母性の塊のような人だからタカシはメロメロなのね」と指摘されたという。

弘子さんは違和感を覚えた。いつも笑顔だからといって母性に溢れているわけではない。自分はむしろ妹キャラなので、兄のような存在の男性にかわいがってもらいたいのだ、と。

仕事における知性やコミュニケーション能力の高さは、異性との関係性と必ずしも一致しない。外でがんばっているからこそ、プライベートでは気を許して甘えられる相手を望む人もいる。しかし、高学歴でキャリア志向の人は包み込むような強さを私生活でも期待されがちである。「20代半ばには結婚して家庭に入る」という将来像を漠然と思い描いていた弘子さんは、気づいたら独身のまま30歳を過ぎ、仕事がますます面白くなっていた。

「海外のMBAを取得しに行く直前、ある外交官の男性から熱烈なアプローチを受けたことがあります。結婚して赴任先について来てほしい、と。海外生活には魅力を感じましたが、その方をそれほど好きではなかったし、キャリアを捨てるのが嫌になっていたのでお断りしました」

留学から戻ってきたのは30代後半。「出産のバイオロジカルクロック」が鳴り響いているのを感じ、人生で最も結婚願望が高まった時期だったと弘子さんは振り返る。親世代の世話好きなおばさまたちにお願いして、何度かお見合いをした。

「私との釣り合いを考えてくれたのか、相手は高学歴の40代男性がほとんどでした。でも、(年齢が近い)彼らとは経歴の面ではり合ってしまうし、そもそも彼らはもっと若い世代の女性を望んでいる。マーケットのニーズが違うな、と思いました」

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