災害時の復旧は現場力に任せ、トップは中長期の判断に集中せよ

災害時の復旧は現場力に任せ、トップは中長期の判断に集中せよ

東日本大震災ではいまなお余震が続き、東京電力福島第一原子力発電所の事故も収束のメドが立たない。だが、企業の原状復帰努力は続けられている。1週間で一部稼働にこぎ着けた、2週間で完全に復旧した等々。確かにそれは優れた現場力の賜物だ。

だが、本当に重要なのは復旧に至るプロセスだと事業継続推進機構副理事長の伊藤毅氏は指摘する。最終的にうまくいったとしても、最善のプロセスを選んだのか、最善ではないが、結果だけつじつまが合ったのか、きちんと検証をしておかなければ今後に経験を生かせない。

特に現場は、起こったことに対して元に戻そうというリカバリーの思想で動く。被害地域が限定的な場合には、このリカバリーで十分だっただろう。だが、ここまで広域にわたる災害の場合、個々の生産能力の回復だけでは十分とはいえない。電力の復旧も完全ではなく、資材調達から製品出荷までのサプライチェーン全体が元に戻っていないためだ。

復旧ではなく復興を

こういう状況の下では、早急な個々のリカバリーが、むしろ将来的には多大なコストの原因になる可能性さえある。

想定外の地震、想定外の津波、想定外の原発事故、これに続く東京電力管内の電力不足の問題……。だが、BCPは本来「想定外のリスク」に対応すべきものであるはずだ。「危機はずっとあった。震災で顕在化しただけ」と伊藤氏は指摘する。

「計測史上最高」のリスクが、リスクを想定するうえで不完全であることは、今回の地震、津波の規模からも明らかだ。基準と見なしているものに対してどれだけリスクの積み増しをするかが問われる。

だが、この純粋なBCPからはじき出された被害想定は、コスト高になりすぎる。人命のリスクはゼロにしなければならないが、それ以外のリスクを、最悪の想定に対してどの水準に設定するのか。

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