心を動かすプレゼンの技術--人前で話すのが苦手なあなたへ 藤沢晃治著

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心を動かすプレゼンの技術--人前で話すのが苦手なあなたへ 藤沢晃治著

ビジネスパ−ソンの関心事の一つは、他者を動かすスキルやテクニックであろう。その代表的手法が「プレゼン」である。「プレゼン」は一般名詞化して、ビジネスコミュニケ−ションの主要な「手段・技術」となった。しかし、ややもすれば提示技術や使用する設備・装置などツ−ルの側面に目を奪われがちである。

プレゼンの本質を整理する必要要があると考えている時、本書に出会った。筆者は「プレゼンの神様」とよばれ、コミュニケーション論に関する多くの著作で知られている。本書ではプレゼン原理からツールテクニック習得まで言及している。

プレゼンの原理は、標題の「心を動かす」に示されるように言葉で人を動かすことにある。人は言葉だけでは動かないが、人を動かすのもまた言葉なのだ。

聴衆を動かす言葉にはプレゼンターのパーソナリティが反映されている。プレゼンターに求められるのは、プレゼン内容のクォリティの高さや流暢さを超えた説得力である。プレゼンの最終目的は「受け手」の行動変容であり、プレゼンとは「説得・納得」のアートなのである。

プレゼンのポイントは、「先ず自分の主張を疑うこと」「視聴者心理を先読みして、根拠を提示」「比喩で効果的に説得」「事例( 事実 )という最強の証拠」。そして、「小心力で洩れを発見」である。

意外にも、気の小さい人こそプレゼンに向くと筆者は言う。なぜなら、気が小さくいつもビクビクしているプレゼンターは、聴衆の視点に敏感だからというのだ。本書はハウツウ本ではなく、コミュニケーション論を真っ向に見据えた「プレゼン哲学書」である。プレゼンをする機会の多い人にはもちろん、そうでない人にもお勧めの1冊だ。

(東洋経済HRオンライン編集長:田宮寛之)

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