「私が一番好きなのに…」推し来日で生まれる悲劇 「I love you」を叫んでも、埋もれてしまう

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そんな絶好のチャンスに、言葉が出てこず、「誰よりも好きなのに伝わらない」ということになったら大変です。家に帰って「ああ言えばよかった」と頭を抱えても、後の祭り。

言ったことに後悔するばかりか、まごまごしているうちに次の人の番になってしまったとなれば、一生後悔するかもしれません。

では、いっそのこと「アイラブユー!」と叫んでいればいいでしょうか。

たしかに、それも一理あります。

でも、周りを見てみてください。あなた以外の人も、ほぼ全員が同じような言葉を発していませんか?

それでいいのでしょうか。

あなたの思いは、そんなありきたりな、「その他大勢」と同じ程度のものだったのでしょうか。

全身全霊をかけて応援するということは、とても中途半端な気持ちではできないことです。

本気で好きで、ずっと前からその日を楽しみにしてきた、そんな自分の気持ちを蔑ろにしてはいけません。

来る人来る人「アイラブユー」。

そんな中、もしあなただけが「会えて本当に嬉しい。新曲最高だったよ!!」と、伝えられたら。

間違いなく、あなたの言葉は相手に届くはずです。

「相手がわかる言葉」で話すことは最大の敬意

自分の母国語ではなく、相手の言葉で伝えようと思うとき、そこには確かな思いやりの気持ちがあります。自己満足ではなく、相手に喜んでほしいからこその行動ですよね。

そんなとき起こりがちなのが、「なかなか言葉が出てこない」という現象。

適切な表現を悩むあまり、時にそれが悲しい誤解を生んでしまうことがあります。

なぜなら、英語圏では黙っていることは必ずしも美徳ではなく、「黙っている=意見がない、もしくは興味がない」と受け取られてしまうからです。

たとえば、嬉しい気持ちを伝えたいのに口ごもってしまい、機嫌が悪いと思われてしまった、質問があったのにテンポよく聞けず話したくないと思われてしまった、などです。

私がふだん教えている英会話教室でも、似たようなことがよく起こります。

せっかく教室に来てくれたのに、なかなか口を開いてくれない。イヤなのかな、と悲しくなりますが、根気強く「間違っても大丈夫だよ」と声をかけると、英語を話し始めてくれます。そのあと無事に話が弾んで、実は最初に言葉が出なかったのは緊張していたからだ、と判明するのです。

英会話教室の場合は、数十分間あるからそれでいいかもしれません。ですが、「推し」の場合は一瞬です。少しでもためらったら、チャンスを逃してしまうかもしれない。

ここで、マインドチェンジが必要です。

悲しい誤解を生まないように、おそれず言葉を発するのです。

このとき、発音がいいかどうかは考えなくて大丈夫。

なぜなら、英語の「正しい発音」はあってないようなものだからです。

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