結局「人工甘味料」はダイエットに効果があるのか 「カロリーゼロ」「ノンカロリー」食品との付き合い方
3つ目がソルビトールや還元水飴などの糖アルコール。
「わかりやすくいうと、糖分とアルコールを化合させた人工甘味料。ガムなどでよく知られるキシリトールも糖アルコールの一種です」
これらの中で、カロリーをほぼ持たないものが代替甘味料としてよく利用されるが、そもそも甘いのにカロリーがないのはなぜ?
「ステビアは砂糖の300倍、アスパルテームは砂糖の200倍の甘さを持つといわれ、強い甘みがあることで知られています。ステビアの1g当たりのエネルギー量は砂糖と同じですが、ごく少量の使用で甘みを感じられるため、結果的に低カロリーとなるのです」
平井さんも代替甘味料の甘さに驚いた経験があるそう。
「4種類の代替甘味料の袋を移動させただけで、手に強い甘みが残りました。中身を出し入れしたわけではなく、外袋に軽く触れただけなのですが……。おそらくごく微量が袋の外側に付着していたのだろうと思いますが、それでこんなに甘いのかと改めてビックリしました」
甘いのにカロリーがほぼない理由
もうひとつ、甘いのにカロリーがほぼない理由は消化、吸収のされにくさにある。
「スクラロースや糖アルコールなどは人間の消化酵素では分解されにくく、吸収も難しいため、体内を素通りして排泄されます。吸収されなければ、当然エネルギーとして利用されないため、カロリーもゼロに近い状態となります」
なお、栄養成分の表示方法は厚生労働省によって厳格に定められている。
「食品100g、または飲料100mlのエネルギー量が5kcal以下であれば、『カロリーゼロ』と表示することが可能。ですから厳密にいえばカロリーゼロでない場合もあるのですが、このエネルギー量で体重増加や肥満を招くことは通常はありません」
実は、WHOが今回勧告したガイドラインに3つ目の糖アルコールは含まれていない。
「問題にされているのは天然甘味料と人工甘味料。どちらも脳は甘さを感じますがエネルギーにはならないため、ダイエットにいい、と、この10年ほどで一気に市場に広まりました。しかし『低カロリーだからと油断してたくさん食べてしまうのでは』、『低カロリーのものでは我慢できなくなり、結局はカロリーの高いものを食べてしまうのでは』といった指摘は市場に広まった当初からありました」
人工甘味料に関しては“腸内フローラに影響を与える”“発がん性がある”との情報もあるが……。
「動物実験などで悪影響が見られた研究も確かにあるようです。しかし、これらの結果は、ある程度の量を摂取した上で得られたもの。先ほども説明したように実際には砂糖の数百倍の甘味があるため、製品に使われるのはごくごく微量となります。その量で人体に悪影響が起こることは考えにくい。何よりそれほど危険なものなら、そもそも食品として認可されません」