中東への橋頭堡、マレーシアの消費事情 盛り上がるアジアの若者消費(マレーシア編)

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ただ、現在のマレーシアはすでに発展途上の状態になく、成長は落ち着いてしまいました。ASEAN諸国の中で、1人当たりのGDPはシンガポールに次いで高く、前回紹介したタイをも上回っていますが、早い時期に発展を済ませてしまったこともあり、現在の成長率は鈍化。完全に成熟ステージにあります。

国民の平均年齢は27~28歳くらいと、ほかの東南アジア諸国に比べれば若いとは言えません。それゆえ日本からの関心も低く、在住日本人の数も多くないのが実情。2010年の数字では1万人を切っており、バンコクだけで3万人が住んでいるタイよりずっと少ないのです。

エンターテインメントは韓流が優勢

では、そんなマレーシアに住んでいる若者の動向に目を向けてみましょう。中華系マレーシア人でクリスチャンの女性Aさん(17歳)は、クアラルンプール市内に両親と同居。非常に裕福な家庭で育ったお嬢様です。買い物はFOREVER21、TOPSHOP、Cotton on、VINCCIといったファストファッション中心で、スターバックスも好き。このあたりは日本の若者となんら変わりありません。

中華系の女性Aさん宅のリビング

Aさんの周囲では日本のファッション誌「ViVi」が人気。しかし化粧品は韓国ブランドが多いとのことで、日本の某大手化粧品メーカーのブランド名を挙げると、「それはママのブランド。私たち世代は韓国ブランドよ」という厳しい答えが返ってきました。ちなみに、卒業式や親戚の結婚式といった特別なときでないと化粧はしないそうです。

芸能の分野でも韓国勢の強さが光ります。彼女自身、韓国人の4人組女性ユニット、2NE1(トゥエニィワン)のファン。周囲では同じく韓国の5人組男性ユニットBIGBANGがいちばん人気だと言っていました。

確かに、東南アジアではどの国でもBIGBANG、SUPER JUNIOR、少女時代が一定の人気を誇っていますす。日本の歌手は?と聞くと、「宇多田ヒカルは知っているけど、マレーシアの若者の中で日本の歌手はちょっとマイナー」だそうです。彼女いわく、先日まで通っていた女子高のクラスでは、クラスメート全員が韓国の音楽と韓国ドラマを好んでいるそうです。

ただし、アニメの分野ではかろうじて日本勢が気を吐きます。ロウアーミドルの公務員家庭に育ち、料理関連の専門学校に通うマレー系の男性B君(20歳)は、日本のアニメ好き。『週刊少年ジャンプ』原作の「NARUTO」「ONE PIECE」「BLEACH」といった一般的な人気作から、若干マニアックな「魔法少女まどか☆マギカ」まで幅広い嗜好。

Aさんも、幼い頃に見ていたアニメとして「ドラえもん」「名探偵コナン」を挙げてくれました。ここ十数年、海外に進出した日本のアニメが残した「遺産」の偉大さが感じられます。

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