ワーナーが「ハリポタ体験施設」に懸けた拡大戦略 「コアなファン」創出し収益拡大の切り札なるか

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――拡大が続く動画配信サービスやプラットフォームへの対応については、どう考えていますか。

配信のいいところは世界に発信できることだ。日本のアニメも、配信によって世界中で見てもらえている。ただ、気をつける必要があるのは、配信は「次はこれ」「次はこれ」といった具合に“消費”されてしまうということ。

フランチャイズ作品(同じ世界観を共有して展開される作品群)を育てるには、ある程度時間がかかる。長い期間、作品を目にしてもらい、イベントなどで体験してもらう必要がある。一方で配信では、新しい作品が次々と入ってくるので、流れ作業のような感じになってしまう。

ワーナーは映画の会社なので、配信よりは映画館(向けのコンテンツ)を大事にしたい。映画館で多くの人に見てもらい、うまくいけばそれをドライバーにして周辺ビジネスを引っ張っていくことでコアのファンを作りたい。

ストリーミング業者にはならない

――配信では現在、U-NEXTと独占パートナーシップ契約を結び、HBO(ワーナー傘下のテレビ放送局)のドラマコンテンツを提供しています。今後、ワーナー独自の動画配信サービス「Max」を日本で展開する場合、既存のパートナーシップはどうなるのでしょうか。

もちろんU-NEXTとずっと一緒にやっていけたらいいが、われわれがMaxを日本でやるのがいつになるか次第だ。

そのときに動画配信市場がどうなっているかもわからない。後発組なので、何をやったらいいかわからないという面もある。その意味では、U-NEXTも含めてさまざまなパートナーとコラボしてやっていきたい。

ただ、ワーナーはストリーマー(配信事業者)にはならない。IPを作るのはすごく大変なことで、多くのお金と人材が必要になる。どれが当たるかわからない中で懸命に作っている。その価値を最大化することが最も大事なことだ。

われわれはあくまでもコンテンツカンパニー。テレビ局や配信事業も運営しているが、すばらしいコンテンツを作って、その価値を最大化するという点で一貫している。逆にいえば、今後もすばらしいコンテンツを作り続けないといけない。

髙岡 健太 東洋経済 記者

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たかおか けんた / Kenta Takaoka

宮崎県出身。九州大学経済学部卒。在学中にドイツ・ホーエンハイム大学に留学。エンタメ業界担当。MMTなどマクロ経済に関心。

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