「結果を出す」超一流は自信家でわがままだ ACミラン本田圭佑が、本番に強い理由

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120%の力を出そうとすることは、自分の力以上の「プラスアルファの力」を出さなければならないという考えにつながります。すると、どうしても気負いや焦りが出てきます。

経験や自信がない選手は大舞台で、自分の力を信じることができないため100%以上の力を出そうとし、結果的に70%、またはそれ以下の力しか出せなくなってしまいます。経験や自信のある超一流は、120%を出すのではなく、やるべきことに集中します。

「自分の長所を100%出せば、勝てないはずがない」

そんな信念で、ミランは何の奇策も講じず、平常心を頼りに、何度も勝利の女神を振り向かせてきました。2007年年には、チャンピオンズリーグの準決勝でマンチェスター・ユナイテッドに勝利。決勝ではリヴァプールを破って、実に7度目の栄冠を手にしたことがあります。

戦いを勝ち抜いた選手には、それだけの力があった

大一番を前に、普段は顔を見せないアンチェロッティ監督がマッサージルームに入って来たことがありました。そして、ピルロと会話を始めました。そこで最後にピルロがいったことを今でもはっきり覚えています。

「明日の試合は、俺がやるから心配しないでいいよ」

誰しもプレッシャーのふりかかる決勝前日に、こんな言葉をサラッといえる。自分に対する絶対的な自信がなければ、出ない言葉です。チャンピオンズリーグの厳しい戦いを勝ち抜いた当時のミランの選手には、それだけの経験と自信、力があったということだと思います。

では、どうすれば折れない「自信」を持つことができるのでしょうか。それは、「自分が一番だ」と思っている選手を観察することで見えてきます。「自分が一番」と思っている選手は、「自分を過信しているのでは?」と思ってしまいますが、そんなことはありません。超一流は、「過信」に近い精神を持っ ています。しかし、「自分が一番」は、「すべての選手の中で一番」ではなく、自らの「得意分野」の中でということです。どういうことでしょうか。

一流と呼ばれる選手は、試合中に、「自分がどうだったか」ではなく、「自分の長所をどれだけ出せたか」で評価します。大げさにいうと自分の不得意なプレーでミスしたことは、評価の対象外となるのです。逆に得意なこと、誰にも負けないはずのプレーでミスしたならば、それはかなりのショックを受けるようです。

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