「17歳差の新婚さん」2人がお互いに感じた決め手 出会いは居酒屋のカウンター席で…

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今度は愛さんがツッコミを入れ始めた。結婚したのは出会ってから9カ月後の2022年1月。和人さんとは一回り以上違うが、年齢差は気にならなかったのだろうか。

「あと7、8歳若かったら子どもが欲しかったので気にしていたかもしれません。でも、この年齢になったら一緒にいて気楽だなと思う人のほうがいいでしょう。私は仕事上で人に気を遣っているので、家に帰ってまで気を遣いたくありません」

「オレが気を遣っているよ!」

酔い始めた和人さんの反撃は無視して、愛さんにさらに聞きたい。43歳で結婚してどんな感想を持っているのか。

ケンカはお互いを認め合っているからこそ

「(私の相手は)この人なんだな、と感じています。いろんなことを助けてくれるからです。仕事場まで車で送ってくれることもあります。体力的というよりも精神的に楽になりました。あと、私がワガママを言っても適当に聞き流してくれるのもいいですね。武田さんは我慢しているかもしれないけれど、私は楽です」

愛さんの両親は和人さんとの年齢差を心配した。しかし、実際に会ってみたら「よかったね」と祝福してくれたという。

「愛の両親は酒をあまり飲まないのですが、親戚は酒好きが多いようです。挨拶に行ったとき、『あそこの家はつまんないからうちに遊びにおいで』と言われました」

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愉快そうに笑う和人さん。愛さんとの結婚に関しては強気でやや上から目線の発言が多いが、根っこのところでは自分を受け入れてもらうことを願い、常に努力しているのだと思う。結婚生活について改めて聞くと、独特な表現でこう答えてくれた。

「愛は一生懸命にやってくれています。人間、それが一番大事です。このジジイのために朝早くに起きてゴハンを作ってくれるし夜もこの時間まで付き合ってくれますから。よくやってくれていると評価しています。まあ、評価できないこともいっぱいありますけど。酔っ払って家の中を徘徊したり」

徘徊なんてしてないよ、もう!と愛さんが嬉しそうに怒っている。言いたいことを言い合えて、認め合っているからこそ仲良くケンカできる。そして、一緒に飲むお酒が妙に美味しい。今夜は晩婚さん夫婦に乾杯、である。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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