エヴァで「聖地」になった天竜浜名湖鉄道の今後 遠州鉄道とコラボ、ラッピング列車貸し切りも

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また、庵野氏は「シン・ゴジラ」でも総監督を務めており、終盤で大どんでん返しを仕掛けるJRの車両たちが話題になった。シン・ゴジラとシン・エヴァは、「鉄道が登場する特撮やアニメーションを次の時代に導いた」と言っても過言ではないだろう。

また、これらアニメーション作品に便乗して、鉄道とアニメ、そして地域とのコラボと称し、オリジナルグッズの販売展開やイベントを開催する鉄道事業者も多い。

では、ロケ地やテーマとなる鉄道事業者は、どのように感じているのだろうか。そこで、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に登場し、「第3村」のモデルの1つとなった天竜浜名湖鉄道の営業課に取材した。

庵野氏が何度も視察に

担当者によると、「庵野秀明さんの作品には鉄道が描かれていることが多く、その中の候補の1つとして弊社が上がり、非公式ですが、10年以上前から複数回視察に来ております」ということだ。

庵野氏の作品中で、舞台となる鉄道の候補はいくつか存在し、その中で、最終的に天竜二俣駅の車両基地に決定したという。さらに10年以上前から、かなり念入りなロケハンが行われていたようだ。

「最終的にはシン・エヴァンゲリオン劇場版にて、弊社がモデル地の1つになりましたが、弊社からの営業はなかった」。正式に舞台に決まったという連絡が来たのは、公開1カ月前とのことで、公開翌日からは、多くの観光客が天竜二俣駅を訪れ、特に映画の序盤に多く登場し、「第3村」のモデルの1つになっている車両基地、扇形機関庫の見学会などは、参加者で大変な賑わいを見せたという。「その後も、エヴァンゲリオンのラッピング車両も運行開始しましたので、効果としては確実にあります」。

歓迎ムード一色ながら、輸送人員などの効果を数字で算出することは難しいそうだ。しかし、以前の天竜浜名湖鉄道の認知度と比べて、大きく変化したという。やはりアニメは、地域鉄道を活性化に導く力がありそうだ。

また、担当者によると「今後もエヴァンゲリオンとのコラボ企画を計画している」とのことだ。加えて西鹿島駅では、新浜松駅方面へ遠州鉄道が運行しているが、「シン・エヴァ」にかけて「シン・ハママツ」などと、駅名表示キーホルダーの販売を行い、遠州鉄道でも、コラボグッズを展開している。

今後は2023年8月ごろに、天竜浜名湖鉄道と遠州鉄道が、エヴァンゲリオンとコラボしたイベントなども「何かできないか検討中です」。

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