医師が解説「がん予防に効くサプリ」の可能性 「科学的に効果が立証されたサプリ」の見分け方

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この効果検証の枠組みを、そのままサプリに当てはめることができるのです。サプリは錠剤なので、ほぼ薬のように扱えるからです(食事はそういうわけにはいきませんね)。

ですので、いかに大規模なランダム化試験で効果が立証されたサプリを選ぶか、というのがポイントになります。

がん予防に効くサプリ

がん予防について最も強い効果が示されたサプリは、なんと「マルチビタミン」です。マルチビタミンサプリは世界中で非常にポピュラーであり、アメリカではなんと3分の1以上の人がマルチビタミンを日常的に服用しています(※1)。

マルチビタミンはそれぞれのビタミンを「いい感じの割合」で混ぜており、単独ビタミン剤ほど副作用がありません(※2)。しかもがん予防に効果的となれば、多くの方にとってかなりよい選択肢かもしれません。

マルチビタミンのがん予防効果を大規模に検証した研究は3つほどあり、それらをまとめると、がん発症リスクを7%ほど低下させる、となっています(※2)。肺がんに限れば、25%程度のリスク低下が示されています。完璧な研究などないので種々の問題点はありますが、かなり期待できる結果ではないでしょうか。

一つのポイントは、がん予防効果がはっきりしてくるには歳月がかかるということ。おそらく5年以上は飲み続ける必要があります(※3、※4)。つまりマルチビタミンサプリの服用を習慣化する必要があるということです。

もう一つは、健康的な食習慣がちゃんとできている人は、おそらくマルチビタミンサプリによるメリットは低いだろうということ。この点、科学的にすごく検証されているわけではありませんが、そもそもビタミンは食事から摂れるものなので、当然健康的な食事をしていればOKなはずです(健康的な食事ができている人が少ないことが問題なわけですが)。

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