噛む菓子「グミ>ガム」になった令和ならではの訳 グミがガムの市場を奪ったと考えるのは短絡的

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もともと、ソーシャルメディアを運用する広告会社に勤めていた武者氏が日本グミ協会を立ち上げたのは、ハッシュタグ文化を知るためだった。するとまさに、SNSの広がりとグミの人気がリンクしていることを体感できたという。特にTikTokなど動画との相性がよく、さまざまなグミを紹介したり、グミで映えるドリンクを作ったりといった動画が数多くアップされている。

武者氏にグミの人気の要因を尋ねたところ、色や形、デザインが映えることに加え、会った人同士で交換するなど、シェアしやすいことも挙げる。一方、「ガムには暇つぶしや口さみしさの解消、集中力を高めるなど機能が求められる傾向が強い。グミは噛む力を求めて生まれたのですが、ビジュアル要素が強いので、若い世代を中心に食べる人が増えたのではないでしょうか」と指摘する。

「グミは、ライン調査でZ世代の推し活の2位に入っています。推しの担当色を買うファンがいるので、メーカーさんも同じ商品で20色のバリエーションを用意したりするんですよ」

グミは平成、ガムは昭和世代が愛好する傾向

一方、ガム市場の64.8%のシェアを持つ(*1)ロッテによると、同社のガムの中心顧客層は50~60代。グミは平成世代、ガムは昭和世代が愛好する傾向が強いとすれば、その違いはどこから来たのか。歴史を見てみよう。

グミはドイツのハリボー社が、1920年に開発したのが最初で、日本では1985年にソニープラザ(現プラザ)で発売された。日本初は明治の「コーラアップ」で1980年、1988年に同社が「果汁グミ」を出して人気となる。

日本経済新聞2018年8月25日のグミを紹介した記事によると、チョコレートで有名な明治は夏にも強い商品を、とヨーロッパ視察で目をつけたグミを売り出した。昭和時代はそもそもグミがほとんどなかったと言える。

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