風邪薬と栄養ドリンクの「同時飲み」は危険! 薬剤師が教える、薬の怖い飲み方

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薬には決められた用法用量というものがあります。用法用量は動物実験から始まり、臨床試験に至るまでの膨大なデータの中から決められています。この量なら効果が最大に出る、この量になると死亡例が増えてくる、ではこの量ならどうだろうか? 1日1回なら? 1日3回なら?……などと、試行錯誤のうえで決められているのが、「効果が最大に出て、副作用が最小に出る」用法用量です。

風邪薬で用法用量を守らない場合に心配なのは、肝臓への負担です。多くの風邪薬は解熱鎮痛効果があるアセトアミノフェンを使っており、肝臓に負担のある成分でもあります。このアセトアミノフェンという成分は薬効を発揮したのち、肝臓に集められて解毒されます。

しかし、肝臓には、解毒する酵素があるものの、その量には限りがあります。必要以上に飲んだ薬は、解毒できずに残ってしまいます。それが肝臓を痛めつけるのです。

風邪薬で「副作用」が出る場合もある

『その薬があなたを殺す!』(SBクリエイティブ)

薬剤性肝障害という副作用があるのですが、アセトアミノフェンが原因となっている例が厚生労働省に報告されています。風邪薬なんてメジャーな薬が副作用の原因(しかも市販の薬の副作用発生件数も、それでの死亡件数も1位です)になるなんて! でも、これが事実なのです。(※薬効群別副作用症例数の状況:厚生労働省 平成19年度から平成23年度)

薬剤性肝障害になると、どういう症状が起きるのでしょうか。

初期症状として、倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸、発疹、吐き気・嘔吐、かゆみがおこります。これらの症状が急に表れたり持続したりします。肝臓はいろいろなことをしている臓器なので、これがダメになるとさまざまな症状が出ます。激しいケースだと劇症肝炎といって肝臓が短期間で破壊されてしまい、死亡に至る確率も高くなっています。

こんなふうに恐い薬剤性肝障害ですが、やっかいなところは、初期の症状が風邪の症状と似ているところです。

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