無印の対抗馬?レトルトカレーに意外な伏兵 マッサンならぬ「マッサマン」が大ヒット

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昨今、消費者の目は厳しくなっており、市場ではPBの多様化が進んでいる。こうした中、西友も、既存のPB強化ではもはや勝てないと考え、新たなPB開発に乗り出した。

PB先進国仕込みの厳しい消費者テストとは?

そこで参考にしたのが、親会社であるウォルマート傘下のスーパーマーケット「アズダ」(英国)の手法だった。アズダのPB「Chosen by You」は、消費者が試食して評価されたものを商品化しており、高い支持を得ているという。これを西友独自にアレンジし、「お墨付き」を生み出したというわけだ。

親会社ウォルマート流を導入

テストは第三者機関に委託している。ブランド名や会社名、パッケージデザインなどは開示せず、試作品ひとつ当たり100人以上が試食する。試食するのは、主に全国の20~60歳代の主婦だ。味・価格・量を評価してもらい、70%以上の人から「非常によい」「よい」と評価されたものだけを商品化する。不合格だったものは改良して再テスト。さらに、商品化された商品も1年半~2年ごとに再テストを行うという。

これにより、開発レベルも上がった。「当初、試作品の70%しか合格できなかったが、最近は85%くらいが商品化されるようになってきた」(PB事業部の越智幸三氏)。開発担当者もメーカーも、従来のやり方では合格できない現実に直面し、開発により真剣に取り組むようになったという。

ちなみに、無印良品は西友のPBとしてスタートしているが、1989年には良品計画を設立して独立しており、両社のレトルトカレーは製法も製造元も異なる別モノである。

2012年12月にスタートした「お墨付き」。2014年1~12月の累計売上高は前年比約30%増を記録した。現在600品目(2015年2月現在)だが、今年は1年間で300品目以上を増やす予定だという。

昨今、少人数世帯や単身世帯の増加などから、調理時間を短縮するレトルト食品やインスタント食品などの簡便食は需要が大きく伸びている。「お墨付き」でも簡便食を強化中だ。今春は、スープやハンバーグ、パスタソースなど、新商品が次々とデビュー。5月末には、エスニック系カレーも新たな味を2種追加するそうだ。 

健康を考えれば手作りに勝るものはない。だが、時短ニーズも高まっており、こうした簡便食の充実化に救われる人も多いのではないだろうか。
 

佐藤 ちひろ ライター・エディター

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さとう ちひろ / Chihiro Sato

インテリア専門商社にて内装デザインや商品開発リサーチ等を担当後、美容系ECサイトや新聞生活情報面の編集に携わる。独立後は企業取材やライフをテーマにした企画を中心に執筆活動を展開。東洋経済オンラインでは「めちゃ売れ!コスパ最強商品はコレだ」「溺愛される商品にはワケがある」など消費財関連の連載執筆を担当。プライベートでは1児の母。

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