韓国人気アイドル「事務所提訴」なぜ頻発するのか 契約解除求めるEXOに飛び交う奴隷契約の言葉

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メンバーのうち2人はSMと再契約に至ったが、残りの3人は、印税などを不当として争い、結局、グループを脱退して事務所を離れた。H.O.T.のファンクラブは20万人を超える規模と当時としては破格だったが、歌唱印税はアルバム1枚あたりひとり20ウォン(当時のレートは10ウォン=1円)にしか過ぎず、個人の事情で契約を破棄する場合は、「契約金と投資額、残った期間に相当する利益の3〜5倍を事務所に支払うこと」が定められていたことも明らかとなり、大きな波紋を呼んだ。

結局、検察が芸能界の不正捜査に着手し、公取委も不公正な実態についての調査を始めた。その結果、いくつかの事務所がアーティストに不正な契約を結んでいることが発覚。「奴隷契約」と呼ばれ猛烈な非難が飛んだが、その矛先の中心にいたのはSMだった。

日本でも絶大な人気を誇った東方神起も分裂

そして、2005年には所属俳優との間での不公正な契約条項が問題となり、2009年には日本でも絶大な人気を誇った「東方神起」のメンバーのうち3人が独自の活動を求めてSMを相手に「専属契約効力停止仮処分申請」をソウル中央地裁に申請し、人気絶頂のスターだっただけに韓国社会は大騒ぎとなった。

判決は3人のメンバーの訴えの相当部分を認めるもので、東方神起は同年11月には事実上、解散した(日本での活動では2010年)。訴訟では、定められた契約期間7年の解釈を巡る攻防もあったと伝えられている。

EXOは、韓国と中国で同時にデビューしたグループでもともとは12人だったが、2014年に中国人メンバー3人が契約期間を問題とし、訴訟を起こしてグループを脱退している。SMはこの訴訟には2018年に勝訴しており、今回の契約期間についてもこの時、最高裁でも認められた正当な契約内容だとしている。

次ページ3人がSMの態度に「本音」を吐露
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