サハリンと日本、その「連なり」を感じる旅 奈良美智氏と石川直樹氏が見た「北方」

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探検家の靴と画家の靴

(写真左)石川直樹「SHOES」photo:Naoki Ishikawa (C)Naoki Ishikawa
(同右)奈良美智「靴 」 photo:Yoshitomo Nara (C)Yoshitomo Nara

奈良さんは北への旅を通して、シャイで無口で助け合って生きる人々のメンタリティ、自然信仰などに、故郷の青森と共通するものを感じたという。北方に少しでも興味を持ってくれればと語る。

「僕たちにとって大切なのは、そこに行くこと。行って空気を感じること。調べることじゃなくて感じることじゃないかなと、改めて思った」(奈良さん)

一方、石川さんは、奈良さんと旅することで頭の中に別の回路が開き、一度行ったところが全然違って見えるのに驚いたという。そして、今回訪ねた土地が北との連なりの中にあることを明確に感じたそうだ。

「沖縄も東南アジアとのつながりが深いし、サハリン、北海道、青森も、日本の中央とのつながりというより、北とのつながりの中で考えたほうが腑に落ちることが多い。旅を通してニュースの感じ方、世界観も変わってきました」(石川さん)

画家と探検家の旅は、未知への扉を開いてくれる。会場には2人の過去がわかる写真や愛用品、ニヴフの女性による刺繍も展示されている。

 

「ここより北へ」石川直樹+奈良美智展
開催中~5月24日
ワタリウム美術館
東京都渋谷区神宮前3-7-6
TEL 03-3402-3001
11:00~19:00(水曜は21:00まで)
月曜休み(5月4日は開館)
大人1000円、学生(25歳以下)800円、小・中学生500円、70歳以上700円

 

仲宇佐 ゆり フリーライター

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なかうさ ゆり / Yuri Nakausa

週刊誌のカルチャーページの編集・執筆を経て、美術展、ラジオ、本などについて取材、執筆。全国の美術館と温泉をめぐり歩いている。

 

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