レアメタル加工のフルヤ金属、積極増資でリサイクル事業を強化へ

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 一方、田中貴金属はフルヤ金属が契約できていなかった、南アフリカ最大の鉱山会社から供給を受けている。今回の提携には、田中貴金属からの原材料の安定供給も盛り込まれており、フルヤ金属はこの契約をフル活用する方針。つまり、同社は南アフリカ3鉱山からの調達ルートを確保したことになる。

提携によるメリットの2つ目は、リサイクル事業を強化できることだ。フルヤ金属のビジネスモデルは原材料を加工してルツボやターゲットに製品化する「新規事業」と、顧客が使用した製品を回収して、これを高純度の粉に戻して(精製)、再び製品として出荷する「リサイクル事業」の2つに分けられる。

リサイクルは新たに必要とする原材料が磨耗した分だけということもあり、利益率が高い。「イリジウムやルテニウムのリサイクルは、世界的にみても手がけている会社が極めて少ない。今後拡大していく事業として、重点的に力を入れている。突貫で展開している」と、古屋社長は強調する。

リサイクルはこれまで、ルテニウムを中心に展開してきた。茨城県筑西市に構えるつくば工場に、精製ラインを持つ(精製回収能力0・8トン/月間)。土浦工場でも2007年12月から2つのラインを稼働(精製回収能力計1・6トン/月間)。現在は2工場合計で、月間2・4tのルテニウムを精製している。

一方で、イリジウムのリサイクルも手がけてはいたが、つくば工場に月間0・3トンのラインを持つにとどまっていた。そこで、今回の増資で得た資金のうち15・4億円を投入し、土浦工場に新棟を建設、イリジウム回収・精製・製造の設備も導入する。新棟は今8月の本格稼働を目指しており、これによりイリジウムの精製回収能力が従来比で2・5倍増となる。

設備増強を梃子にリサイクルを伸ばすことで、イリジウム事業全体の粗利率を引き上げる狙い。同事業は11年6月期では粗利率20%見込みだが、これを年率30%アップさせ、14年6月期には粗利率45%に向上する計画である。

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