日本発!「人工知能画像検索エンジン」の挑戦 アドクオリティが開発中の技術とは?

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人工知能の精度は、学習したデータに比例する。Webサイト上のデータを収集することも可能だが、商品の詳しい情報や画像が整ったデータベースを得ることは難しい。

そこで、セブン&アイグループでファッション通販を展開するニッセンが協力し、商品のデータベースを提供している。グループ内で最もITに関する取り組みが進んでいることに加え、総合スーパーのイトーヨーカ堂やコンビニのセブンと比較して自社商品が多く、データを提供しやすいという事情もあった。

ムゲンラボのプログラム期間は約3カ月で、毎期5チーム程度が参加する。最新端末の貸し出しやクラウドなどの開発環境の支援に加えて、「メンター」(助言者)と呼ばれるKDDI社員もチームに密着し、グループ内外との連携を進めながら支援する。最後にサービス発表会の「デモデイ」でプレゼンを披露するのが一連の流れだ。

開発の方向性が定まらずケンカも

証券トレーダー、シンガポールでの起業などの経歴を持つアドクオリティの松田総一CEO(写真:尾形文繁)

しかし、アドクオリティは特殊な例だった。松田CEOも「実際、かなりもめました」と明かす。期間中は毎週のようにサービスのプレゼンをこなすのだが、メンターからは「結局、何をやりたいのか? 期間中にアプリは出さないのか?」といったことをよく指摘された。

これに対して松田CEOも「アプリで終わるものじゃない。インフラを作りたいんだ」などと主張して譲らない。開発の方向性が定まらず、しばしばケンカになったという。

メンターを務めたKDDIアライアンス推進部の浅井利暁氏はこう振り返る。「松田CEOはとにかく真剣で、それだけによく衝突しました(笑)。ただ、チームもKDDIも互いに本気でぶつかなければいいサービスはできないと思っていた」。結局は「サービスを世の中に発表し、どういった反応や評価が得られるのか知ることも大事」(ムゲンラボ長を務める新規ビジネス推進本部の江幡智広氏)ということで、検索にフォーカスする形で開発に取り組むこととなった。

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