維新・浅田氏「防衛力強化は経済・産業にもプラス」 日本維新の会が考える「あるべき安全保障」の姿

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浅田:内閣に国家安全保障会議(日本版NSC)を作りましたが、どういうサイバー攻撃が仕掛けられているかを見破る能力、つまり自衛隊と一体化していなければならない部分ですが、そういう担当がいるのか。

中国の場合、海警局という警察と軍が一体化したところがパトロールしていて、いきなり攻撃してくる。日本は本当に軍事的な攻撃であると見分ける前段として警察が必ず関与することが必要な仕組みになっていて、そこでサイバーに対応するところがありますが、警察と自衛隊の垣根をどう取っ払うか。

自衛隊はそういう仕組みを構築し始めていると言っていますけど、それは自衛隊の仕組みです。警察は警察の仕組みで、組織が違うわけです。その部分を一元化する。NSCの中にそういうのを作ることが必要ですね。

一方、海上保安庁と海上自衛隊は、情報収集は海保がやり、得た情報を海自に送る。海自がどういう反撃をするにしても、大きな情報収集任務を持っていないのが問題ですね。私たちは海上保安庁法第25条を変えようという提案をしているのですが、縦割り意識があり、海保には「海自は後発」みたいな気持ちがある。海保は海保の誇りがあって、縄張りを主張するわけです。

NTP体制の強化が日本の国益

塩田:もう一点、安全保障問題との関係で、核抑止力について、日本はどういう対策と施策が必要だとお考えですか。

浅田:私は核拡散防止条約(核不拡散条約。NPT)の体制を強化していくのが、日本としては重要だと思います。日本は核兵器を持つと、NPTから脱退する必要があるし、日米原子力協定も破棄する必要がある。原子力発電所も動かせなくなる可能性があるので、それはできない。

日本はNPTの中に残って、NPT体制を強化していく。核保有国と非保有国を明確に分けて、核を持ってないところには「絶対に持ってはだめよ」と、持っているところには「減らしていきましょう」と言い続ける。平和利用の道を新たに組み立てていくのが現実的ではないかなと考えています。

(後編に続く)

塩田 潮 ノンフィクション作家、ジャーナリスト

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しおた うしお / Ushio Shiota

1946年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
第1作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師―代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤』『岸信介』『金融崩壊―昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『安倍晋三の力量』『危機の政権』『新版 民主党の研究』『憲法政戦』『権力の握り方』『復活!自民党の謎』『東京は燃えたか―東京オリンピックと黄金の1960年代』『内閣総理大臣の日本経済』など多数。

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