怒りっぽい人が人間関係で大誤解していること 自分のなかの「苛立ち」「不調」の価値を見直す法

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「だけど、まずは自分が正しいと思うことをして、自信を持つことが大事なんですよね。もう自分の時間を無駄にしたくありません。相手に尽くしたのに思いどおりにできないからと、怒ったり失望するのはやめたいと思います」

受け入れがたい感情を抱くとき、多くの人は罪悪感や恥ずかしさを覚えがちだ。しかも、いい人でいるには、そうした感情は抑えなければならないと思っている。だがあまりにも長い間本当の気持ちに蓋をしていると、やがてそれは噴き出してくる。そして、「いったい何がいけないのか?」と立ち止まって考えなければならなくなる。

不安になったり落ちこんだりしたときは、自分が何かしらの感情を隠していないか、問いかけてみよう。

最悪の気分になるのはどんなときかを考え、その気分が特定の人と関係があるかどうかを見極める(わたしの経験では、人がもっとも認めたがらない感情は2つあるようで、それは、だれかのことを怖いと思う感情と、嫌いという感情だ)。

真の解決には他者との対峙が必要だという人もいるが、それは逆効果で、かえって不安をあおる場合が多いとわたしは思う。肝心なのは、自分の本当の気持ちを知り、受け入れることだ。

努力や全力投入は決して美徳ではない

怒りはときに有益な感情だ。怒ることで人はものごとを変えるエネルギーを手にし、自分を、守るべき価値のある存在と考えられる。

責任感が強すぎたり、心配ばかりしていたり、やたらと落ちこむ人が怒りの感情を意識できるようになるのは、いい兆候である場合が多い。

真の自己が前面に出てきて、自分で自分をいたわれるようになってきたことを示しているからだ。

Uさんは、精一杯がんばってきたにもかかわらず、プレッシャーだらけの生活を送っていた。いつも時間に追われているような気がして、頭の中では「もっとがんばれ、努力が足りない」という声が聞こえていた。趣味のピアノでさえ、長時間全力で演奏しなければならない義務と化していた。休めるのは精根尽き果てたときだけだ。

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