国は違えど変わらぬボランティアの心

プロゴルファー/小林浩美

 桜のつぼみは膨らんでいるのに、日本は今、深い悲しみと不安の中にいる。東日本大震災で、未曽有の被害に見舞われた。日本中、あるいは世界中から「何とか力になりたい」、「何か自分にできることはないか」と、チャリティ活動やボランティア活動など、いろんな角度から支援が集まっている。

1990年から13年間、米女子ゴルフツアーに参戦し、たくさんのチャリティ活動やボランティア活動を見てきた。まず、通常ほとんどの試合がチャリティを目的としたものだということに驚いた。試合ごとにどこの団体に寄付するのか明確で、その試合が数年、数十年と続けば続くほど、億単位で寄付金は積み重なっていく。
 また、それぞれの試合の中で選手たちも、バーディを取るごとに数ドルから数十ドルをそれとは別に決めたところに寄付を行っている。さらに試合前に行われるプロアマ競技では、その賞金を選手基金に積み立てて、突発的な何か災害等が起こった時にいつでも寄付できるように準備している。

米国は、試合そのものもたくさんのボランティアで運営されている。ギャラリー担当やコース担当、駐車場担当など、毎日数百人単位で活動してくれている。日本もたくさんのボランティアで運営されている試合が数多くなっている。一方、試合の成り立ちや税法の違いもあり、試合そのものがチャリティ目的となるには道のりがある。

個人のチャリティ精神も旺盛だ。米国は、社会人として社会に何か還元するのが当たり前であり、それが良識ある大人としての振る舞いと認識されている。
 ある年のシーズンも終わり頃の試合で、選手へのお知らせボードにある張り紙が貼ってあった。協会からのお知らせはもちろん、選手から選手たちへの伝言板にも使われているそのボードには、
「家のない人のために家を作ろう」プロジェクトが載っていた。その紙は2つに分かれ、1つは現場で実際に家を作る手伝いのできる人、2つは支援資金を提供する人の欄で、選手が任意で記入するというものだった。
 私は家を作るのはできないから寄付金のほうに名前と金額を書いた。翌年、シーズンが開幕するとそのプロジェクトに参加した選手やプロキャディさん達が、家を建てるのを手伝っている写真が貼られていた。この写真を見て単純に感動した。家を作ることに関しては素人なのに、その中でできることをひたすらやった、という生き生きした写真だった。

今の日本は、これまで私が見たどのボランティア活動をもはるかに超えている。自分の身も顧みず、「何かせずにはいられない」という一心でただひたすら動いている。日本人ならではの「助け合い」であふれている。

プロゴルファー/小林浩美(こばやし・ひろみ)
1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)会長。所属/日立グループ。
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