東日本大震災、その時、医薬品卸会社は《1》東邦薬品--非常時に備えた訓練が奏功、被災地への供給責任を果たす

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--生物製剤など温度管理が必要な製品の保管は大丈夫でしたか。

12日の夜には、東北事務所がある県庁周辺は電気が回復しました。県内でもいちばん早かったです。東北大学から5分もかからない位置にあり、供給責任を果たすことができました。

--震災対応では、どんなことに頭を悩ませましたか。

ガソリンの問題と原子力発電所事故への対応、そして今は改善してきましたが、通信手段です。特にガソリンについてはいちばん困りました。東北地方には640台の業務用車両があり、うち宮城県内は154台あります。ガソリンは指定ガソリンスタンドである程度優先的に供給を受けることができますが、台数に制限がありました。出勤についても、1台の車を複数の社員が乗り合うことでやりくりしました。

--原発から近い地域への医薬品供給についてはどのようなスタンスで臨んでいますか。
 
原発事故で大きな問題になったのが、原発周辺地域への製品供給でした。当社の場合、いわき営業所は福島第一原発から40キロメートル離れた距離にあったので、行政から安全の確認を得たうえで、納品体制を維持しています。屋内退避区域にある原町営業所(南相馬市)の得意先医療機関については自衛隊の助けを借りて供給を継続しています。


東北大学病院へ医薬品を運び込む


東邦薬品気仙沼営業所の倉庫。気仙沼市内への医薬品供給を続けた

(岡田 広行 =東洋経済オンライン)

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