【産業天気図・外食】市場縮小続くが、不振組のリストラ効果に出店・M&Aでの拡大も継続

外食業界のうち、上場各社の業績は、おおむね『晴れ』模様と言ったところだ。今期の各社営業利益の合計は、前期に対し約19%程度の増益が見込まれている。外食産業全体が落ち込む中、上場各社の拡大戦略と、BSEなどで落ち込んだ業態での底打ちが増益を後押ししている。
 外食産業の市場規模は、1997年に29兆円のピークをつけたが、その後は落ちる一方で、2003年、04年は2年連続で25兆円を割り込んだ。奢侈的な需要の落ち込みに加え、弁当や総菜などいわゆる「中食」(なかしょく)に市場を蚕食されている。今05年も既存店ベースでは前年割れが継続。04年が鳥インフルエンザや台風、地震、オリンピックと、逆風には事欠かない1年だっただけに、それすら上回れていない現状は、各社を取り巻く環境がまだまだ厳しいことを示していよう。
 業態別に見ると、不振組のリストラ効果が見て取れる。BSE問題に泣かされたどんぶり業態、焼き肉業態は、各社の対策が浸透しつつあり、大幅な増益だ。吉野家ディー・アンド・シーが黒字転換する一方、ゼンショーはM&A効果も発揮し、大幅な増益を見込んでいる。焼き肉も仕入れの変更や不採算店のリストラが進む。ただ、水準としてはようやく正常化しつつある、といったレベルだ。
 一方、横ばい程度と苦戦するのは、ファストフードやファミリーレストラン、ラーメンなど。ファミレス大手のロイヤルホールディングスは既存店の落ち込みが厳しい。ファストフードでも、日本マクドナルドホールディングスが想定以上の客単価の下落で、期初計画を大幅に下方修正している。フード需要は中食との厳しい戦いにさらされている。
 居酒屋業態は、既存店は引き続き不振。各社とも大量出店の継続やM&Aで成長を維持する構えだ。大手のコロワイドは焼き肉のがんこ炎を買収、引き続きM&Aを模索する。レックス・ホールディングスは、焼き肉やしゃぶしゃぶで再び大量出店の攻勢をかけている。
 外食産業は、もともと小資本・労働集約型産業で参入障壁はきわめて低い。差別化の要素もほとんどないだけに、市場全体の縮小が続く中で厳しい競争が続きそうだ。
【丸山尚文記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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