【産業天気図・電力】原発事故の打撃大きく電力民営化後60年目の最大危機、燃料価格高も痛手

景況感の展望
11年4月~9月 10月~12年3月

電力業界は2011年4月から1年通じて、前年同期を下回る景況感になりそうだ。福島第一原子力発電所の事故は当事者である東京電力にとどまらず、業界全体で定期検査中の原発の運転再開を延期する動きが広がる。火力発電も燃料高騰で採算厳しい。

東日本大震災で、3月11日以降東京電力、東北電力の計14基の原子力発電所が停止。加えて東電・福島第一原子力発電所1~4号機では原子炉の冷却機能の回復のメドが立っておらず、周囲に放射能を漏洩させるという、国内の原発史上最悪の事態となっている。

影響は当事者である東京電力にとどまらず、原発そのものの安全性への不信感にもつながっており、政府は既存の原発の安全性強化、建設中の2基を含めた計画中の14基の新設計画も見直し検討の方針を示しており、電力業界全体の経営基盤を揺るがしかねない状況だ。電力各社は今2012年3月期、戦後の民営化後60周年目の節目の年を迎えるが、民営化後最大の危機といっても過言ではないだろう。

また、原発停止による供給力不足は、LNG、石油などを燃料とする火力発電で補うほかないが、そこに燃料費の高騰という問題も立ちはだかる。リビアなど北アフリカ・中東情勢の緊迫化でもともと原油価格は1バレル100ドルを超える水準まで上昇していたところに、今後の世界的な原発見直し気運も加わり、原油、LNGともに先高感が出てきている。電力業界だけでなく、LNGを主原料とする都市ガスの採算にも影響を及ぼしかねない。

東京電力は福島第一の1~4号機を廃炉にする方針をすでに明かにしており、現在の混乱が数カ月で収束したとしても、今期から廃炉のための処理費用が数千億円単位でのしかかる。また、福島、茨城などで被害を受けた出力規模の大きい火力設備の復旧には時間がかかるため、目下、同社では定期検査などで休止中だった火力設備の稼働を前倒しにしたり、他の電力業者からの応援融通をかき集めるなどで、夏の計画停電を阻止するために全力を投入しているもよう。供給力不足で売り上げは減るうえ、原子力に比べて費用の高い代替火力燃料、設備・調達費用などの原価も上昇。さらに資金調達コストの上昇も懸念される。

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