斬新!「尿発電技術」は女性たちを救うか <動画>排泄物が貧困地帯の救世主に?

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学生とスタッフが試作品の小便器を使い、尿を照明発電用の燃料電池スタック に「提供」するよう求められている。開発者は、照明が暗いために女性が襲われることも多い難民キャンプのトイレが、尿発電技術によって明るく照らされれば、と考えている。

2、3杯も飲めば、尿意を催すのは避けられないことだ。だが英ウェスト・イングランド大学の科学者たちは、尿が単に飲み過ぎを知らせるだけでなく、有力なエネルギー源になり得ると信じている。

この試作版尿発電トイレは、人間の尿を捕獲して発電を行っている。イオアニス・イエロプロス教授が率いる同研究チームは、 国際支援団体オックスファムと共同でこのような小便器を難民キャンプに設置しようとしている。

微生物燃料電池が尿を「食べて」電力を発生させる

研究主任のイオアニス・イエロプロス教授は次のように話す。「これは要するに、微生物燃料電池(MFC)技術を実証するための”生きた”実験です。実際の現場でいかに尿から長期間発電が続けられるかどうかを見たいわけです」。

男子学生に小便器を使うよう協力を求めた。学生の尿はパイプを通って下の貯蔵タンクに貯められ、288個の微生物燃料電池の間にしみ渡っていく。微生物燃料電池には生きた微生物が入っており、微生物が尿を食べる過程で電力が発生し、トイレに明かりが点される仕組みだ。

尿の提供が途絶えないよう、小便器は学生用バーの外に設置されている。学生の尿は特に強力なエネルギー源になり得る、とイエロプロス教授は見る。「バーで何らかの飲み物を飲んできた人達が“頑張ってくれる”ことで、性能の向上ができればと思っています」。

イエロプロス教授のチームは2013年に、尿が携帯電話をわずからながらも充電し得ることを証明している。また、同チームが開発した、最新型微生物燃料電池は、より効率的かつ生産コストも低くなっている。

将来的にはこの技術が、トイレの照明が暗いことの多い難民キャンプで導入されることで、女性の安全性の向上に大きく貢献できるのでは期待している。

オックスファムの水道衛生担当であるアンディ・バスタブル氏は、この技術が成功すれば、活用の可能性が広がるとしている。「この技術は、夜間に明かりを灯すこともできないような貧しい地域の人々に大変革をもたらすことになるでしょう」(バスタブル氏)。

試作版尿発電トイレは、効果を試すために3カ月間実験現場に置かれる。今年の後半にもフル機能の尿発電トイレ第一号が難民キャンプに送られる予定だ。

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