人生を変える「自分へのインタビュー」の重要度 大谷翔平や村田諒太などトップ選手の共通習慣

✎ 1〜 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 最新
拡大
縮小

心の健康には、まずは、自分へのインタビューを始めるといいでしょう。通勤途中などに、誰かにインタビューされていると思って、頭の中でセルフトークをして下さい。

「◯◯さん(自分を呼ぶ)、今日の気分はどうですか?」
「うーん、今日はちょっと元気ないんですよね」
「なぜですか?」
「昨日上司に言われたことに困っていまして」
「なぜ困っているのですか?」
「会社でどんな顔をすればいいのかと」

という具合に、自分への「なぜなぜインタビュー」をやるのです。
体重計に乗ったり、体脂肪をチェックしたりして、ちょっと脂肪をとりすぎたかなと注意するのと同じで、心の状態を自分でモニターするわけです。

すると、これが「自分との会話=セルフトーク」に気づく第一歩になります。このように、自分の心のなかに「もう一人の自分」を作り、話し合っていくことも、自分ならではの建設的な行動を作るための方法の一つです。

「どうすれば今日の自分は、イライラしないでもう少し良い仕事をできるかな?」
「今日はニコニコしていればいいんじゃないの」
「いや、ニコニコ? そういう問題じゃない気もする」
「そうだよねえ。じゃあ今日は、ゆっくり喋るように心がけながらやってみよう」

こうしたセルフトークは、人によって作り方が違います。本書にもあるように、まずは研究や理論で明らかになっていることを学び、「自分に最適なことは何か」を考えていくことが大事です。

何かに挑戦している人とチャッター

スポーツ心理学では、「セルフトーク」についての研究や実践トレーニングが多くあります。

スキルとして学ばなくても、子供のときから当たり前のように自分との会話をしていたという人もいるでしょう。

何かに挑戦している人であれば、チャッターは、頭の中に出ざるをえないものでしょう。「どうすればもっとうまくいくかな」と考えることはセルフトークでもありますから。

(後編に続く)

(構成:泉美 木蘭)

田中ウルヴェ 京 スポーツ心理学者、五輪メダリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たなかウルヴェ みやこ / Miyako Tanaka-Oulevey, PhD

1988年にソウル五輪シンクロ・デュエットで銅メダル獲得。引退後、10年間の日米仏の代表チームコーチ業とともに、米国大学院でスポーツ心理学を学び修士号取得。2021年、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科博士課程にて博士号取得。現在、慶應義塾大学特任准教授、日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング上級指導士、国際オリンピック委員会(IOC) Revenues and Commercial Partnerships委員などをつとめ、経営者やビジネスパーソン等幅広くトップパフォーマーの心理コンサルティングに携っている。アスリートが人生の意味を考える学び場「iMiA(イミア)」主宰。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT