独占!新日鉄住金を揺さぶる男、かく語りき 対立するブラジル合弁相手のCEOが激白

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ブラジル市場の低迷が続き、ウジミナスには輸出事業を展開できるだけの競争力がない。鉄鉱石価格が1トン当たり50ドルを下回る現状を踏まえれば、生き残りに向けた一連の措置がすでに講じられてしかるべきだが、新日鉄住金が任命したエルウィン・ロメルCEOは、そうした措置を講じていない。

われわれは、ウジミナスの近代化と競争力の向上のために長期的なプロジェクトに取り組んでいる。同社には垂直統合したバリューチェーン、汎用品ではなく高機能品を出し続けることが必要だ。

そのためには、テルニウムの持っている経営能力、新日鉄住金の専門技術と品質の高さという、両社の強みを生かす合弁の根本原理に立ち帰る必要がある。この方針は、テルニウムが2012年にウジミナスの経営に参画した当初から変わっていない。

訴訟が最善の策とは考えていない

――双方の和解を望む声は大きい。新日鉄住金との今後の関係をどのように考えるか。

われわれは裁判所に3役員の解任無効の請求している。それほど時間がかからずに3名の役員を復職させるべき、という判断が出るだろう。短期的には、その決定を新日鉄住金には尊重してほしい。そして長期的には、交渉を通じた解決の余地はまだまだ残されているし、ぜひそういった方向に持っていきたい。

現在の状況は持続可能なものではなく、ウジミナスと株主に多大な損害を与えている。同社の将来のためには、新日鉄住金とテルニウムの提携が最善の選択肢である、とわれわれは考えている。

今は両社の間に誤解が生じているが、基本的に問題を解決するのは交渉であって、訴訟をすることが最善だとは考えていない。現在のこじれた状況を過去のものとできるよう、引き続き最大限の努力をしていく。

そのために誠意ある交渉、そして双方が攻撃的な動きを自粛することによってお互いの立場を和解に導き、ウジミナスにとって最適の道に軌道修正できると確信している。

※詳しくは「週刊東洋経済」2015年4月25日号(20日発売)「核心リポート02」をご覧ください

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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