グーグルを読み解く!最新20のニュース 周辺分野の開拓には、どんな意味がある?

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少し前にアップルのMVNOサービス『Apple SIM』が話題になったが、やっぱりグーグルもMVNO事業に進出してきた模様。『GoogleがMVNO事業参入か、年内サービス開始との情報』(IT pro)とあるが、アップルとグーグルが本格的にMVNO事業に参入すれば、キャリアの「土管化」はさらに進む。それは日本市場だけでなく、世界中でも言えること。キャリアの地位低下が決定的になる今、グーグルはMVNO事業に抜かりなく進出してきたことになる。

抜かりないのは、『グーグルがSpaceXのネット事業へ10億ドルの投資決定』(GIZMODO)という投資も同様。インターネットサービスの“次の戦場”が宇宙だと把握しているグーグルは、10億ドルもの出資を行った。巨大企業だからこそ可能になる投資額であるが、意思決定の柔軟性は巨大企業とは思えないレベルである。

IoT分野で先手

同じことは『Googleが検索アルゴリズムを変更、サイトのモバイル対応度をより重視』(INTERNET Watch)というニュースにも言える。SEO対策などもあり、検索アルゴリズムは適度に変えていかないといけないが、その動きは素早い。加えて、世界的にモバイルの需要が増えていることを受けて、モバイル対応度を重視する決定を下すのも迅速であった。

モバイル経由でのネット接続は世界中で増えているが、それにともないWi-Fiの需要も高くなっている。最近では飛行機の中でもWi-Fiサービスを利用できるところが増えているが、『Google Flight』でフライト別のWi-Fiサービスの有無を検索できるようになったという。『旅行の前にチェックすべし。Google Flightがもっと便利に』(GIZMODO)。

このサービスによってグーグルが直接利益を得ることはできないが、「広告収入」というグーグルのビジネスモデルを考えてみれば納得。インターネットに接続できれば、検索サービスなどに繋がり、間接的に自社の利益になる。Google Flightというサービスを提供しながらも、同時にインフラを提供していることになる。

IT分野ではIoT(モノのインターネット)が注目を集めているが、グーグルはIoT分野で先手を打っている。『特許から見るGoogleの「スマートホーム」構想:スマートドアノブ、スイッチ等をいかに活用するか』(THE BRIDGE)というニュースがあったが、『Nest』という企業を買収していたからだ。

スマートドアノブを活用するとのことだが、ドアノブは意外に重要なポイント。部屋の出入りには必ず触るものであり、照明や空調、そのほかの家電製品と相性もいい。グーグルというよりも、Nestが先陣を切っていた分野ではあるが、買収した今、IoTを強力に推し進めていくだろう。

※ 続きの「グーグルの誤算」「グーグルの弱点」は、週刊『夏野総研』のブロマガでご覧ください!

夏野 剛 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授

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なつの・たけし

早稲田大学政治経済学部卒業、東京ガス入社。米ペンシルベニア大学経営大学院ウォートンスクール卒(経営学修士)。NTTドコモでiモードの立ち上げに参画。執行役員マルチメディアサービス部長を務め、08年に退社。現在は慶應義塾大学政策メディア研究科特別招聘教授のほか、ドワンゴ、セガサミーホールディングス、ぴあ、トランスコスモス、DLE、GREEの取締役を兼任。経産省所轄の未踏IT人材発掘・育成事業の統括プロジェクトマネージャー現任。ダボス会議で知られるWorld Economic Forum の“Global Agenda Council”メンバーでもある。


 

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