働き方が「先祖返り」?会社と社員が折り合う方法 対面の会議と社内イベントは必須なのか?

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重要なことは企業の価値向上(収益の最大化)と社員にとっての必要性の観点から無駄な仕事は増やさない。新たに取り組むべきことがあれば、同意を得る必要があると考えるべきでしょう。すると、当然ながら説明ができないものはやめるべきかもしれません。経営者やビジネスリーダーが、「説明責任」を求められる時代になったのです。

ではどうしたらいいでしょうか。

こうした状況で、出社の必然性を説明するために有効なキーワードが「エンゲージメントの向上」かもしれません。

エンゲージメントとは個人と組織の成長の方向性が連動していて、互いに貢献し合える関係のこと。エンゲージメントが高まることは企業も個人も業績が向上するというデータがあります。

エンゲージメント向上のために必要……と説明できるなら(私生活の重要性が高まる状況でも)会議や社内イベントも排除できないのではないでしょうか。

もちろん、エンゲージメントの向上につながるように工夫は必要です。何となくやったほうがいいという観点で行ってきた会議や社内イベントのまま継続するのではなく、エンゲージメント向上のためにやり方を変えるのです。

風土を変えたい社員たちができること

例えば、会議や社内イベントの企画を現場主導で企画する。実施後の評価をアンケートで収集して、随時改善を行っていくなど、現場を巻き込んでの改善に取り組むのがひとつの道筋でしょう。

一方、私生活を大事にする価値観が芽生えた人は、会社側が望む「先祖返り」に対してどのように接するべきか。

先祖返りを簡単に容認することなく、この機会に見直すべきことはしっかりと提言しておいたほうが、のちのちに禍根を残さないでしょう。

なんとなく受け入れてしまうと、気がつけば、コロナ前にストレスと感じていたことを甘んじて再び受けることになるかもしれません。

オンライン勤務になり、ストレスが解消されたことの上位として人間関係がランクインしている調査もあります。

その点、会議や社内イベントは人間関係でストレスを感じる可能性の高い機会です。ストレスを感じる人は多いはずですので、自らのためにも、周囲のためにも、見直しを提案していくことは有意義なはずです。

例えば、社内イベントを全員参加ではなく、有志に変更する。あるいは会議で上司の長い話にイライラを感じないように、進行や企画を若手が行う。ストレスの少ない職場に作り変える機会として、活用してはいかがでしょうか。

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高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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