セミナーレポート

消費者起点で築く
「サプライチェーンマネジメント戦略」
顧客ロイヤリティを維持するためにオムニチャネルで大切なこと

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ソリューション講演
オムニチャネル視点での商品供給管理

白鳥直樹氏
JDAソフトウェア・ジャパン シニアソリューションアドバイザー

JDAソフトウェアの白鳥直樹氏は、「オンライン購入で最大の不満は『配達遅延』の35%で、悪い配送を経験した消費者の6割が小売りを変える」という同社調査(英国)を報告。「ネットで注文して近くの店で受け取るクリック&コレクトなど、商品の届け方も多様化している。それに伴い、複雑化するフルフィルメントへの対応が必要である」と、サプライチェーンの視点からオムニチャネルリテーリングについて語った。

まず、顧客をつかむためには「顧客の好み・属性を分析・理解した上で、パーソナライズされた提案をすることで、ブランドに愛着を持って買い物をしてもらえるサイクルを作り出せる」と、顧客との接点をつなぐためのビッグデータを活用したデータサイエンスの重要性を訴えた。さらに、つながった顧客を定着させるためには、「デリバリー、フルフィルメントの問題に対応するバックエンドの確立が必要」と指摘。販売計画をシームレスに倉庫管理、輸配送などの実行業務につなぐソリューションの有効性を示した。JDAでは、「注文に対して、どの店舗・配送センターから送るのが最適か」を選択したり、「倉庫の作業状況を見ながらトラックの出発タイミングを最適化する」といった業務効率化のテクノロジーに注力。一連のオーダーライフサイクルを一つのプラットフォームで動かせるツールを提供している。白鳥氏は「ものが高速で動く今の時代は、業務横断的に部門間が連携するオペレーションの再設計が不可欠」と、サプライチェーンの変革を訴えた。

事例講演
お客さま主導のシームレス・リテーリング

飯田健作氏
日本トイザらス 執行役員eコマース本部長

オムニチャネルリテーリングについて、日本トイザらスの飯田健作氏は「チャネルの視点だけでは本質を見誤る」と語り始めた。経済産業省発表の統計データによると、小売業のEC化率は約3.7%で、高い数字とは言えない。だが、現代の購買行動は、従来の小売り(リテール)の前に検索・サイト閲覧(プリテール)、購入後に商品や店舗体験を口コミ、SNSで拡散(ポストテール)が加わったループになっている。日本のB2CにおけるEC市場は前年比17.4%伸びているが、「本当に伸びているのは、プリテール段階で、ウェブで情報を収集し、実店舗、ECの両方を利用するシームレスカスタマー」と見る。

同社は「チャネルよりお客様を議論すべき」という考え方のもと、シームレス・リテーリングを推進。ポイントの獲得・利用、品ぞろえ、カスタマーアシスタンスなどの面で、実店舗と同等レベルを目指して、14年にオンラインストアをリニューアル。13年に始めた、オンライン注文商品を実店舗から発送する「シップ・フロム・ストア」に続き、実店舗からオンラインに注文し、指定場所に届ける「ストア・オーダー・システム」の導入、送料無料対象商品の拡大などデリバリーも充実させた。また、実店舗で人気のレゴ・ブロックなどのインショップをバーチャルショップとして導入し、実店舗に近いデザイン、商品配置を工夫するなどの取り組みの結果、14年度のオンラインストアの訪問者数・発注数は前年比5割増となった。今後も、お客様との接点強化を図るとした飯田氏は「購買体験のループを上手に回し、お客様の記憶に残ることが重要。お客様の検索の対象に入らないと、デジタルマーケティングのビジネスは持続しない」と述べた。

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JDAソフトウェア・ジャパン株式会社
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