「無印良品」がアジアで認められるワケ 売れているのはユニクロばかりじゃない!

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金井社長は同社の強さについて、「MUJIという発想から出る商品開発が強みだ。今は誰もが多くの商品を持つ中、消費者の立場で生活のクオリティをどう上げていくか、常に議論している。さらにその商品を店舗でどう売っていくか。店のデザイン、マーケティング、ウェブを使った情報発信など、各部門が一堂に介し、毎週話し合っている」と語る。

 こうした強さを引き出しているのが、現場に徹底された仕組みだ。標準化・見える化した店舗運営マニュアルである、「MUJIGRAM」(ムジグラム)がそれであり、売り場のディスプレーから接客、発注まで、具体的にすべて書いてある。「その内容も固定化せずに、社員の創意工夫や顧客の意見を受け、次々に変えていく」(幹部)ところに強さの源泉がある。

新社長は海外が得意分野

新社長の松崎曉氏は西友出身で海外人脈が豊富だ

自信は2016年2月期の業績見通しにも現れている。国内では円安による逆風もあり、平均3~5%値上げする予定だ。「こだわりたいね」などの構成比も上げて、一段と価値訴求を追求していく姿勢を示す。

さらには好調な海外を中心に出店攻勢も続ける。出店純増数は国内外で71を予定し、そのうち海外が47と過半数を占める。中国を中心に出店を増やすほか、米ニューヨークでは、今年秋に旗艦店を開業する予定だ。

その結果、2016年2月期の全体の業績は、売上高が前期比11%増の2901億円、営業利益が同25%増の300億円と2ケタ増収増益を狙うなど、強気な計画を立てる。

社長交代も同時に発表した。6月1日付で、金井社長が代表取締役会長になる一方、新社長には松崎曉(まつざき・さとる)専務が就任する。松崎氏は西友出身で、2005年から良品計画に転じ、海外事業部を長く担ってきたことが強みだ。

金井社長は松崎氏の評価について、「海外が長く人脈が豊富。海外の成長をしっかり取り込んで欲しい」と期待感を示した。これに対し松崎氏は、「日本で成功したビジネスモデルを海外に持って行って発展させていきたい」と、抱負を語った。ユニクロ同様にアジアでの成長が牽引役となっている「MUJI」。その強さに一段と注目が集まりそうだ。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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