ANAがスカイマークに20%未満出資へ  過半出資意向だがファンド側が反発

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 2月23日、全日本空輸を傘下に持つANAホールディングスは、民事再生手続き中のスカイマークに出資する方向で最終調整。写真は羽田空港のスカイマーク機。昨年11月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 18日 ロイター] - 民事再生手続き中の航空会社・スカイマーク<SKALF.PK>に対し、ANAホールディングス(HD)<9202.T>が出資する方向で最終調整に入った。出資比率は20%未満になる見通しだ。複数の関係筋が明らかにした。

すでに資金支援をしている投資ファンドのインテグラルとともに、ANAHDはスカイマークの支援に乗り出す。

関係筋によると、インテグラルが過半数の出資比率を確保。ANAHDの比率は、スカイマークの羽田空港の国内線発着枠(1日36往復分)の返上が生じないよう20%未満とする。インテグラルとANAHDはスカイマークを将来的に再上場させることや雇用の維持などでも合意しているという。

1月に民事再生法の適用を申請したスカイマークは、インテグラルから最大90億円の支援を受け、同社とともに2月から事業面でのスポンサー募集を開始。旅行会社など約20社が応募し、航空会社としてはANAHDやマレーシアの格安航空会社(LCC)のエアアジアが名乗りを上げていた。  

複数の関係者の話では、ANAHDはこれまで金融機関の出資を含めて過半数の出資を求めていたが、これにインテグラル側が反発し、ANAHD側が譲歩した格好だ。ANAHDは今後、スカイマークとの共同運航や燃油の共同調達、安全・整備面などで支援していく考え。

ANAHDは過去に経営が悪化した新興航空会社のエア・ドゥやスカイネットアジア航空(ソラシドエア)に出資し、再建に関わった実績を持つ。ANAHDが選定される見通しとなったことで、5月29日が提出期限の東京地裁への再生計画案の策定が前進する。詰めの協議はまだ続いており、ANAとインテグラル2社の主張が折り合わない場合、正式合意に向けて曲折も予想される。

スカイマークは欧州航空機大手エアバス<AIR.PA>からの機体購入をキャンセルし、同社から多額の違約金支払いを求められており、交渉力のあるANAの支援が必要と判断した。ただ、ANAの出資により、スカイマークは日本の空の運賃競争をけん引してきた「第三極」の座を失うことになる。

 

(白木真紀、浦中大我 編集:田巻一彦)

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