ダイハツ「ムーヴキャンバス」が指名買いの理由 暮らしにゆとりをもたらした軽自動車の新基準

拡大
縮小

そのうえで、2~3位を守るダイハツの底力も見逃せず、N-BOX以外のホンダの軽自動車販売動向は、10位以下となる「N-WGN」までホンダ車がない状況で、N-BOX一本での勝負である点が際立つ。

逆にダイハツは、タントとムーヴをあわせれば、N-BOXとN-WGNの合計台数との差が縮まり、軽自動車という枠組みでの商品性や販売力で、ホンダが抜き出ているわけではないことも見えてくる。スズキもスペーシアが順位を下げたとはいえ、ワゴンRの台数を加味すれば、ホンダやダイハツと並ぶのであって、軽自動車販売で負けたということにはならない。

とはいえ、ダイハツのタントとムーヴが上位という状況で、なおかつハイトワゴンのムーヴが存在感を示している背景はどこにあるのか。

軽自動車販売の統計は、登録車と同様に、同じ車名が頭につくと、その派生車種もあわせた台数での勘定になる。

現行のムーヴカスタム(写真:ダイハツ工業)

ダイハツ・タントの場合は、タントの外観違いである「タントカスタム」と、昨年10月に追加された「タントファンクロス」も販売台数に含まれる。ムーヴでは、ムーヴと「ムーヴカスタム」のほかに「ムーヴキャンバス」があって、ムーヴキャンバスは外観も内装や装備もムーヴ/ムーヴカスタムとは異なる趣向だが、ムーヴという車名での販売統計になる。

新型ムーヴキャンバスの存在感

ムーヴキャンバス セオリーG
ムーヴキャンバス セオリーGのスタイリング(写真:ダイハツ工業)

そして昨年7月に、ムーヴキャンバスがフルモデルチェンジをして2代目となった。そのモデルチェンジ効果が、昨年7月以降のムーヴの販売順位を押し上げているのではないか。昨年の11月以降、ムーヴの販売台数は1万台前後で推移しているが、ダイハツ広報部によれば、ムーヴ/ムーヴカスタムが約3000台に対し、ムーヴキャンバスは約7000台の比率であるという。

両側パワースライドドア
新型ムーヴキャンバスでは両側パワースライドドアも採用(写真:ダイハツ工業)

ムーヴキャンバスは、2016年に初代が登場した。ムーヴには、それまでも派生車種としてラテやコンテがあったが、ムーヴキャンバスはそれらともやや違った価値観を持っている。代表的なのは、スーパーハイトワゴンでは標準となる後ろのスライドドアが、それより背の低いハイトワゴンではじめて採用されたことだ。

次ページムーヴキャンバス販売好調の理由は?
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT