アマゾン、楽天が誘発、コンビニ拠点"争奪戦" ローソンが連合形成、日本郵便も動き出す

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ローソンの玉塚元一社長は、新会社を通じた「御用聞き」の取り組みも意欲を示した(撮影:梅谷秀司)

配送拠点化はコンビニ側にもメリットがある。一つは手数料収入が増えること。もう一つ大きいのが、「ついで買い」だ。ローソンでは荷物を受け取りに来る人のうち、約5割が買い物をしていくという。コンビニ業界は出店競争の激化で、1店当たりの客数が減少傾向にある。店頭での受け取りは、ありがたい来店動機になる。

今回、ローソンはSGローソンでの配送を通じて、「お客様のいろいろなニーズに応えていきたい」(玉塚社長)と意欲を示す。単なる来店待ちではなく、配送先との接点を生かし、ローソンの商品販売につなげようという狙いだ。ただ佐川側は「(荷主以外の)製品を推薦することは信義則上できない」(SGHD首脳)と否定的。両者の思惑にはズレも見られる。

独自路線を貫くセブン

セブン&アイの鈴木敏文会長は連携に否定的(撮影:今井康一)

ネット通販や物流会社との連携強化について、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長は「組んでもうまくいかないと思う。(お客を呼びたいなら)自分たちでやればいい」と言い切る。コンビニ大手3社で、セブン-イレブンだけがアマゾン商品の留め置きを行っていないのは、「アマゾンが何度お願いしても、セブン側が首を縦に振らない」(流通コンサルタント)からともいわれる。

セブンは10月から、グループの商品を一括して扱う新たな通販サイトを始め、コンビニからの配送も独自に行うなど、連合を形成するローソンとは正反対だ。一方、サークルKサンクスを傘下に持つユニーとの経営統合に動くファミリーマートも、異業種から見れば拠点数は魅力的なはず。全国で5万を超すコンビニの“活用”を狙い、合従連衡がさらに進みそうだ。

「週刊東洋経済」2015年4月25日号<20日発売>「核心リポート01」を転載)

田野 真由佳 東洋経済 記者

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2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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