マツダ「新MX-30」ロータリーエンジン搭載の真相 EV発電用としてRE復活、EVシフトは進むのか

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搭載する定格電圧355Vのリチウムイオンバッテリーは、容量17.8kWh。BEVモデルと定格電圧は同じだが、バッテリー容量はBEVモデルが35.5kWhだから約半分となる。エンジンが発電を行うため、BEVモデルほどの大容量は不要なためだ。エンジンが稼働しないEV走行時の航続距離は85km。それにロータリーエンジン用のガソリン燃料タンク50Lを組み合わせており、エンジンが発電した際の動力も合わせた航続距離は、欧州仕様車の場合で400マイル(約643.7km)以上になるという。なお、最高出力は125kW(170ps)、最大トルクは260Nm(26.51kgf・m)。国内仕様のBEVモデルが最高出力‪107‬kW(145ps‪)‬、‪最大トルク‬270Nm(27.5kgf・m)なので、出力はPHEV車のほうが大きく、トルクはBEV車のほうが勝る。‪‬

また、PHEV車であるため、普通・急速両方の方式に対応した充電機能を持つほか、1500Wの給電機能も搭載。使用シーンに合わせて選択できる「EVモード」「ノーマルモード」「チャージモード」の3つの走行モードも備えることで、多様な走行シーンをサポートする。なお、ホイールには、前後18インチを採用。荷室容量は、通常の5人乗りで332~350L、セカンドシートの背もたれを倒した2人乗り仕様で1137~1155Lだ。

欧州仕様車のグレード展開は、エディションRのほかに、ベーシックな「プライムライン(PRIME-LINE)」、シートヒーターなどを備えた「エクスクルーシブライン(EXCLUSIVE-LINE)」、ボーズ・サラウンド・サウンドシステムなどを備える「マコト(MAKOTO)」といった全4タイプを設定。価格は、日本仕様と同じ右ハンドル設定となるイギリスの場合で、3万1250ポンド(約521万円)~3万7950ポンド(約633万円)だ。

以上が欧州仕様車の概要だ。国内仕様車では、細かいスペックはもちろん、グレード展開や価格についても現状では不明なので、詳細は今後の発表を待ちたい。

正式発表は今年秋頃を予想

リアビュー
MX-30 e-SKYACTIV R-EVのリアビュー(筆者撮影)

マツダの担当者によれば、MX-30 e-SKYACTIV R-EVの国内における正式発表時期は、「2023年秋頃にはなんとかしたい」とのこと。おそらく、2023年10月26日から開催される「ジャパンモビリティショー2023」(東京モーターショーから名称を変更)あたりに発表されるのではないだろうか。

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ともあれ、現在、マツダのラインナップでは、100%BEVはMX-30のみなど、電動化モデルが少ない。他メーカーと比べると、やや出遅れている印象は否めない。ロータリーエンジンを発電機とするMX-30の新型PHEVモデルをはじめ、今後、マツダがどのような電動化モデルを登場させ、グローバルに進むEVシフトへどう対応していくのかが注目される。

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平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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