鈴木亮平「40代、あえて新しい事に挑戦する理由」 夢を諦めなかった原動力、失敗は"未来への投資"

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「自分にできること、できないことの境界線が少しずつ見えてきました。一生懸命やってダメだったら、『今の自分のタイミングではダメだった』と考えています。落ち込む必要はないし、違うところで取り返せばいい。1つの失敗や成功ですべてが変わるわけではないし。例えば、野球で大事な場面で三振をしたからって、この世の終わりじゃない。

トータルでの出来を大切にしています。自分の力量は自分がいちばん理解しているので、悪い意味でもプレッシャーをあまり感じなくなりましたね。これも経験かもしれません」

40代は、周りが止めたくなるような“新しい挑戦”に挑みたい

3月29日、40歳の誕生日を迎えた。40歳はキャリアという面では、折り返し地点と位置づけているが、「挑戦し続ける人間でありたい」という。そこには鈴木なりの理由があった。

「40代は、キャリアとしても働き盛りだと思うんですが、同時に築き上げた経験値や業界での立ち位置で、そのままでもやれてしまうこともあると思うんです。でも、それじゃ面白くない。あえて、新しいことに挑戦していくっていう生き方を選びたいなと思っています」

これまで、表現力の幅を広げるために、難しい役柄にも挑戦してきた。そんな鈴木にとって、「新しい事に挑戦する」とは、どんな意味が込められているのか。

「自分ができるかできないか、わからないところに挑んでいく姿勢ですね。これは自分にできるなって思ったら挑戦じゃない。それよりも、『次はそんな挑戦をするの?』って周りがちょっとこう止めたくなるようなことです。昔から、そういう癖がありますね。

周りから、『無理でしょ』って言われれば言われるほど、『いや、自分にはできるぞ』という気持ちで挑戦する。その過程にこそ充実感があるんです。大きな変化を求めて歩んでいく生き方には憧れますし、自分もそうありたいなと思います」

そう語る、俳優・鈴木亮平の姿には、「安全な場所で待っていたら、救える命も救えなくなる」という危険な場所にも恐れずに飛び込んでいく、喜多見チーフドクターの生き様そのものと重なってみえた。

インタビューも終わり、テーブルの上に用意されていたキャンディーを口に入れながら、「美味しいけど、なめながらだとすごく話しにくいんですよね」と自然体の笑みを見せて、次の現場へと向かっていった。

俳優・鈴木亮平は、すがすがしいほどの覚悟を秘めながらも、今日をしなやかに生きている。

(撮影:長田慶)

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池田 鉄平 ライター・編集者

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いけだ てっぺい / Teppei Ikeda

Jリーグ、国内、外資系のスポーツメーカー勤務を経て、ウェブメディアを中心に活動。音楽一家で育ち、アーティストとしてインディーズでアルバムリリースも経験。スポーツ、音楽、エンタメを中心に取材活動を行っている。

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