ツルハ、大株主イオンとは一線画すM&A 北海道のチェーンが四国の薬局を買う意味

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4月13日に記者会見した、レデイ薬局の三橋信也社長(右)、フジの尾崎英雄社長(中央)、ツルハホールディングスの堀川政司社長(写真:共同)

再編が加速するドラッグストア業界で、またM&Aが明らかになった。4月13日、北海道から東日本中心に店舗網を持つツルハホールディングス(HD)が、四国で首位のレデイ薬局に対し、レデイの筆頭株主であるフジと共同で、TOB(株式公開買い付け)を開始すると発表したのだ。

ツルハの筆頭株主は、あのイオンで、13.0%を保有するが、独立色が強い。イオン系のドラッグストアでは、ウエルシアHDが今年9月にCFSコーポレーションを完全子会社化する計画。が、ツルハは今のところ、合流を否定している。イオンがプライベートブランド(PB)開発などで、系列ドラッグストアのグループ化を加速したのは2000年代に入ってからだが、ツルハに対する旧ジャスコの出資は、ツルハが上場する以前の1995年と、実は古い。財務面、収益性ともに、ツルハは業界の優等生であり、当分の間は「独立独歩」路線を貫くとみられる。

一方、フジは四国最大のチェーンストアで、中国地方にも店舗を抱える。現在はレデイの株34.2%を持ち、レデイはフジの持分法適用会社。創業者の故・三橋春男氏の四男である三橋信也社長が、買収後も経営陣に残るが、2位株主としての持ち株19.6%は手放す。TOB後は、ツルハが51%、フジが49%を持ち、ツルハの子会社となる予定だ。これでツルハHDの店舗数は1550店規模となり、マツモトキヨシHDを抜いて、首位に躍り出ることになる。

四国では人口減少こそ脅威

TOBは2段階で行われる。まず5月18日まで、1株800円で、創業一族が保有するレデイ株(社長の近親者7人で計29.26%所有)を買い付ける。残る一般株主の株は、6月2日から7月13日まで、1株1000円で、TOBを実施する。成功すれば、ジャスダック上場のレデイ株は、年内にも上場廃止となる。

 レデイの創業一族は、一般株主よりも安く持ち株を手放すことによって、再編後の経営強化を後押しする。レデイの2015年2月期は、連結売上高545億円(前期比3.9%増)で中堅クラス、営業利益は12億円(同3.3%減)と、足踏みしている。店舗数は200超で、四国ではトップ。しかし、九州でディスカウントストアばりの値引きが売りのコスモス薬品や、業界2位で徹底した効率経営に定評があるサンドラッグも出店を増やしており、競争は激化している。何より、国内でも最速といえるほど、「人口減少が一番の脅威」(レデイ関係者)という状況で、トップを守ることができても、ジリ貧は避けられなかった。

2007年にはフジと資本業務提携、2008年にはフジのドラッグ子会社を株式交換でレデイ子会社としている。フジのPB「スタイルワン」(ユニー、イズミヤとの共同PB)を店舗へ導入するなど、協業は進めている。

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