体内時計を無視するから、日本人はがんになる 「時計遺伝子」の力を知っていますか

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地球が誕生したのは、約46億年前と考えられています。そのとき、地球の自転周期はなんと5時間だったそうです。10億年前は約20時間、5億年前は約21時間という周期で、1日が徐々に長くなってきました。人間の祖先である霊長類が生まれた約3500万年前は、約23.5時間だったとされています。そして今は、おおむね24時間の周期で1日が繰り返されています。

このように地球の自転周期は、ほんのわずかずつですが、日々、伸びています。こうしたズレに未来永劫に対応できるように「だいたい1日」という、伸びしろの大きいサーカディアンリズムが組み込まれたと考えられます。私たち人間は、24時間11分というサーカディアンリズムを持っているのです。

光を浴びて、サーカディアンリズムをリセットする

地球上で、私たちが生きていくには地球の自転周期とサーカディアンリズムのズレを、毎日リセットしなければなりません。そのリセットの役目を果たしているのが、起床時の太陽の光です。

「早起きは三文の得」と昔から言われていました。「規則正しい生活が大事」とは、当たり前すぎるほど健康の常識ですし、早寝早起きが体調をよくすることも私たちは体験的に知っています。

しかし、なぜ早寝早起きが体によいのか考えたことがあったでしょうか。朝、太陽の光を浴びて体内時計をリズミカルに始動させることこそが、体内時計の老化を防ぐからです。体内時計が若々しくあれば、時計遺伝子は正常に働き、リズムよく活動することができるのです。

もうひとつ、サーカディアンリズムのズレをリセットする方法があります。それは、1日3度の食事を決まった時間に取ることです。

電気を獲得した現代生活では、光刺激に依存する体内時計は、どうしても崩れやすくなっています。常に強力な光を目に受けてしまう生活では、体内時計のリズムの振幅が小さくなり、活動と休息の時間のメリハリがなくなってしまうからです。しかし、3度の食事によって「腹時計」をしっかり動かすことで、たとえ体内時計が乱れてきても、食事のたびにズレをリセットできるのです。

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