セミナーレポート

EY Japan「持続可能な経営」セミナー 企業価値向上と社会価値創出を同時に実現する経営に向けて

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【パネルディスカッション】
価値創造経営と持続可能な競争力
―閉塞感を打破する次世代の経営とは?

新日本有限責任監査法人シニア パートナー EY新日本サステナビリティ 常務取締役
大久保和孝氏

モデレーターの大久保和孝氏は「過去の経験から未来を予測することが難しい今、先にビジョンを描き、自社が果たす役割を示すバックキャスティングが重要」と切り出した。

EYの牛島慶一氏は「会社のありたい姿だけではなく、どのような社会にするかを描き、ステークホルダーと共有することが大切。日本企業自らが主役として積極的に社会づくりにかかわっていくべきではないか」と指摘。

石倉洋子氏は「今の若く優秀な人は、何のために働くかを考えている。人材採用の観点でも企業の価値のあり方を見るべき」と話した。

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 代表取締役
北島敬之氏

貝沼由久氏は「製造業の現場では、社員の生活や待遇など現実的な話にする。理念的なビジョンでは理解されない」と実務的な難しさに触れた。

ユニリーバの北島敬之氏は「1880年代に生まれた一つの石けんから始まった『よりよい明日を創るために』というビジョンの下、ユニリーバは皆様と共に小さな行動を毎日積み重ねることが、世界を変える大きな力になると信じている」と説明。「不安定な時代では、企業にとって成長が大切だが、一方で責任が伴うというリスポンシブルグロースの概念も必要」と述べた。

エーザイ 執行役デピュティ CFO 兼チーフIRオフィサー 早稲田大学大学院 会計研究科・商学研究科兼任講師
柳 良平氏

患者貢献という社会的価値創出の結果、利益を生むというhhc(ヒューマンヘルスケア)の理念を掲げるエーザイの柳良平氏は「途上国で熱帯病の薬の無償配布をしているが、長期的に経済価値を目指す投資と、株主には理解してもらっている」と述べ、「株式の市場付加価値を作るには、投資家とのコミュニケーションが大事」と指摘した。

【講演3】
課題解決先進国の実現へ
Building a Better Working World

EYジャパンエリア CCaSSリーダー
牛島慶一氏

EYで気候変動とサステナビリティサービス(CCaSS)のリーダーを務める牛島慶一氏は、2050年に1億人を切る人口減少や、農作物への影響や災害を引き起こす気候変動に、今のうちから経営も備えていく必要性を指摘した。「激変の時代に日本企業は、理念を持ち、将来の潜在顧客や社会に向けた提案を行い、自ら競争ルールを仕掛けて作っていくべき」と強調。「経営戦略の策定、実行からコミュニケーションまで一貫サポートできる我々のチームは、皆様とパートナーを組み、これからの経営や資本主義のあり方を日本発で世界に提案したい」と述べた。

閉会あいさつで新日本有限責任監査法人シニアパートナーの須藤修司氏は「CCaSSチームは日本が世界をリードするためのサービスを展開します」と締めくくった。

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