夫が育休を取るのは、そんなに大変なこと? 日本のイクメンを増やす方法を考えよう

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「出産直後から生活ペースができあがるまでの半年を、夫婦で試行錯誤しながら過ごしたのはいい経験となりました。子どもはどちらかというと苦手だったのですが、大変な時期を乗り越えたので耐性がついたというか、今は一緒にいてもまったくストレスはないですね。実は、子どもが妻より私になついていているんです。これが最大の収穫です(笑)」。

復職後、半年間のブランクは特に感じないという。職場では夜型勤務を改善したいという方針から、以前のような残業はなくなったが、「妻がひとりで子どもの世話をする時間を減らすために、それ以上に早く帰宅できるよう努力していきたい」と、仕事効率化への意識も高まっている。

ネックは管理職、世代ギャップを解消せよ

ファザーリング・ジャパンの主導で2014年12月に設立された「イクボス企業同盟」。イクボスのロールモデルや養成ノウハウを共有していくという

30代以下と40代以上との世代ギャップを埋める取り組みも進んでいる。ファザーリング・ジャパンは2014年3月からダイバーシティマネジメントができる管理職を養成する「イクボスプロジェクト」を始め、12月には「イクボス企業同盟」を発足、現在15社が加盟している。管理職の意識改革を促し、理想の上司(イクボス)を育てていくのが狙いだ。

少子高齢化の日本では、育児だけでなく介護も男女が共に担わなくては社会が成り立たたない。「ワークライフバランスは福利厚生ではなく企業戦略です。こうした状況を理解できる管理職を増やすことが目的です」(尾形さん)。

国も昨年4月から育児休業給付金の割合を67%に引き上げ、育休取得の後押しを図っている。給付期間中は社会保険料の支払いがないので、実質的には手取り額の8割相当になる。

「収入面の解決は大きいですね。業界団体でもいくつか取り組みが模索されていますし、男性の育児をテーマにしたTVドラマ「残念な夫。」など、あるある的な番組も増えています。議論を巻き起こす仕掛けは始まっています」(尾形さん)。

働くママが活躍する社会になっていくためにも、イクボスが当たり前の存在になってほしいものだ。

須賀 華子 フリーライター

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すが はなこ

津田塾大学卒業後、編集プロダクションに勤務し、母子保健分野の編集を行う。退職後北京大学社会学部へ留学。社会医療・福祉を学ぶかたわら、日本語学習本の執筆、翻訳に従事。帰国後、主婦向けウェブメディアの編集を経て、女性の生活・生き方、育児などをテーマに取材をしている。

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